関西のビジネス界において、信頼できる知人や友人を紹介してもらう「リファラル採用」という新しい雇用の形が急速に広がりを見せています。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を運営する企業がアトラクションの技術職を対象にこの制度を開始したほか、ヤンマーも農機具の開発現場で試験的な導入に踏み切りました。専門性の高い人材の確保は従来の一般公募では難しいため、従業員個人の人脈をフルに活用して全国から優秀なビジネスパーソンを募る動きが本格化しているのです。
この採用手法が注目される最大の理由は、入社後のミスマッチが圧倒的に少ない点にあります。求職者は実際に働く知人を通じて、求人票だけでは見えてこない社風や実際の職場環境といったリアルな内部事情を事前に深く理解できます。SNS上でも「信頼できる友達の紹介なら安心して転職できる」「お互いの性格を知っているからこそ、入社後のギャップがなさそう」といった好意的な意見が相多く、企業と求職者の双方にとって非常に納得感の高い仕組みとして評価されているようです。
コスト削減と高い定着率がもたらす企業のメリット
リファラル採用とは、自社で活躍する社員に紹介を受けることで、確実性の高い人材を確保する採用手法を指します。企業側の視点に立つと、高額な費用が発生する人材紹介会社を介さないため、大幅な採用コストの抑制につながる点が魅力的です。さらに、職場に馴染みやすく離職率も低いことから、再び求人をやり直したり教育を行ったりする時間や手間の削減にもつながるでしょう。これまで資金力の限られたスタートアップ企業での活用が目立っていましたが、新卒一括採用が見直される今、大手企業にも浸透し始めています。
日本経済新聞社が2019年10月に実施した調査によると、リファラル採用を導入している大手企業は東京の19%に対し、関西は13%とまだ発展途上の段階にあります。しかし、SNSを介して求人情報を手軽に共有できる専用アプリの登場が、この状況を大きく変えようとしています。すでに約560社が導入している支援サービスは、2020年中に大阪支社を新設する計画を立てており、関西企業における導入ハードルは今後さらに下がっていくと予想されるでしょう。
首都圏からのUターン転職を促す関西経済の起爆剤へ
現在の関西における転職市場は、求職者と求人数の双方が右肩上がりで成長を続ける非常に活発な状態にあります。特に「IT・通信」分野の求人倍率は8.4倍という驚異的な数値を記録しており、深刻な人手不足が浮き彫りになりました。さらに、2025年に開催が予定されている大阪・関西万博を見据えると、ホテルや飲食といったサービス業を中心に、これからはさらに人材に対する需要の波が高まることは確実と言えます。
私はこのリファラル採用こそが、関西から首都圏へ流出してしまった優秀な人材を呼び戻す最強の切り札になると確信しています。データによると、2019年に京阪神の大学を卒業した若者のうち、約25%が地元を離れて首都圏へ就職しているのが現状です。地方の優良企業が情報発信不足に悩む中、地縁を活かしたアプローチができるこの制度は、故郷へ戻りたいと願う潜在的なUターン希望者の心を動かす強力なキッカケになるに違いありません。
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