現在、中国発の新型コロナウイルスによる肺炎が世界的な広がりを見せています。これを受けて中国政府は、2020年01月27日から海外への団体旅行を禁止する措置を打ち出しました。この決定は、楽しみにされていた春節の大型連休とも重なり、日本の観光産業へまたたく間に暗い影を落としています。
ネット上でも「楽しみにしていた京都旅行が白紙になった」「買い出しの予定が全てキャンセルで悲しい」といった中国人観光客の悲痛な声が溢れています。それと同時に、日本国内の受け入れ側からも「街が急に静かになってしまって寂しい」「一体いつまで続くのだろうか」といった不安な書き込みが相次いでおり、SNSではこの話題で持ち切りです。
そもそも「インバウンド」とは、外国人が日本へ旅行に訪れることを指す言葉です。近年、日本のホテルや小売業はこのインバウンド需要、特に中国からの旅行客による旺盛な消費活動に支えられて成長を続けてきました。今回の措置は、まさにその成長の原動力を急停止させるほどの破壊力を持っています。
各地で相次ぐ大量キャンセル!宿泊・レジャー現場の悲鳴
悲劇はすでに現実のものとなっています。札幌の有名温泉地である定山渓ホテルでは、2020年01月27日の昼までに250人分もの予約が取り消されました。さらに別の老舗宿では、2月中旬までに1000人を超えるキャンセルが見込まれており、関係者は「雪まつり以上の稼ぎ時だったのに」と頭を抱えています。
関西でも打撃は深刻でしょう。大阪のリーガロイヤルホテルでは144室分の予約が消え去り、京都の高級ホテルでも団体客の取り消しが相切っています。また、北海道の網走で人気の流氷観光船では、1月から3月までに予約されていた中国人客のうち、約700人分が突如としてキャンセルになる事態に陥りました。
海の玄関口でも混乱は続いています。横浜市は2020年02月01日に入港予定だった定員1880人のクルーズ船のキャンセルを発表しました。さらに博多港でも、2020年01月28日に到着するはずだった大型船の寄港が中止されています。こうした事態に、長崎のハウステンボスでも数百人規模の影響が出ている模様です。
冷え込む家電量販店と、日本経済を揺るがす深刻な試算
お買い物スポットも例外ではありません。東京・秋葉原などに大型店舗を構えるヨドバシカメラでは、販売員の肌感覚として、客入りが前年の7割程度にまで落ち込んでいるようです。団体ツアーのルートから外れてしまえば、爆買いに期待していた売り上げが一気に減少してしまうのは避けられないでしょう。
専門家による試算では、かつて世界中を震撼させた重症急性呼吸器症候群(SARS)の時と同じレベルまで客足が遠のいた場合、日本の国内総生産(GDP)を0.45%も押し下げると言われています。GDPとは国内で生み出された富の合計であり、これが下がることは国全体の元気がなくなることを意味するのです。
編集部としては、今回の事態を単なる一時的な不運として片付けるべきではないと考えます。一つの国からの観光客に依存しすぎていたこれまでのインバウンド戦略を見直し、リスクを分散する絶好の機会にすべきでしょう。政府や企業は今こそ、国内旅行の促進や他国からの誘客に本腰を入れるべきではないでしょうか。
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