私たちの生活を劇的に変える可能性を秘めた、次世代の宅配サービスとしてドローン(小型無人機)が注目を浴びています。この分野で今、大きな旋風を巻き起こしているのが福岡市のベンチャー企業「トルビズオン」です。彼らは土地の所有者とドローンを飛行させたい事業者を結びつけ、上空の利用権を貸し借りできる画期的なマッチングサービス「sora:share(ソラシェア)」を展開しています。最高経営責任者(CEO)を務める増本衛氏は、自動車の道路と同じように、誰もが安全に利用できる「空の道」の構築を目指しています。
増本CEOは地域特有の課題を解決するため、自治体と手を携えて日本全国を奔走しています。SNS上でも「過疎地や離島の買い物難民を救う鍵になる」「空のインフラ作りは夢がある」といった期待の声が寄せられており、その注目度は高まる一方です。2019年5月には、福岡市の九州大学箱崎キャンパス跡地で自動運転ドローンによる配送実験を実施しました。約1キログラムの荷物を載せて200メートル先の目的地まで届ける試みは、携帯電話などの電波干渉という障壁を乗り越え、見事に成功を収めています。
さらに2019年11月には、山口県下関市の山間部で買い物代行の実験も行われました。このとき、ドローンは私有林の上空を通過しましたが、複雑な飛行許可の手続きや地権者との交渉を見事にまとめ上げたのがトルビズオンです。空を飛ぶドローンにとって、避けて通れないのが法律や権利の問題でしょう。現状の法律では、土地の所有権はその上空にも及ぶため、他人の敷地を勝手に飛行することはできません。この難解な権利調整をスムーズに行う同社の役割は、ドローン社会の実現に不可欠だと言えます。
2014年の創業当時、同社は空撮や操縦教室を運営していましたが、毎回発生する土地所有者への許可取りに苦戦したことが新サービス誕生のきっかけとなりました。ソラシェアは、都度利用と月額3000円で定額の「飛ばし放題」という2つのプランを提供しています。手数料を除いた料金の7割が地権者に還元される仕組みとなっており、眠っていた土地の上空が新たな資産に変わる点も魅力的です。万が一の落下事故に備えた専用の保険も大手損保会社と共同で用意されており、利用者の安心感にも配慮されています。
現在は愛好家を中心に350人ほどの会員数ですが、将来的には物流や小売業といった大手企業の参入を見込んでいます。鉄道や高速道路のように、空のインフラ基盤を作るビジネスは一朝一夕に利益が出るものではありません。しかし、地道に協力の輪を広げる増本CEOの視線は、「空のグーグルやアマゾン」という巨大な目標を見据えています。ドローンが当たり前のように空を行き交う未来は、すぐそこまで来ているのかもしれません。過疎化が進む日本の地方を救うイノベーションとして、今後も同社の挑戦から目が離せません。
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