東北地方の観光シーンがいま、かつてない転換期を迎えています。日本の国土の約2割という広大な面積を誇りながら、訪日外国人客の割合はわずか1.4%に留まっている東北ですが、2019年9月25日現在、その「伸びしろ」を活かしたダイナミックな挑戦が始まっています。政府が掲げる訪日客倍増計画の鍵を握るのは、まさにこの地の躍進と言えるでしょう。
その戦略の中核を担うのが「仙台空港観光圏」の創出です。これは、仙台空港をゲートウェイ(入り口)として、東北6県から北海道南部までを一つの大きな旅のエリアとして捉える画期的な試みです。行政と民間が手を取り合い、単なる点での観光ではなく、面で楽しむ「広域周遊」の魅力を世界へ発信し始めており、SNSでも「東北の移動が便利になった」と期待の声が上がっています。
特筆すべきは、海の向こうの北海道・函館との連携です。函館大沼プリンスホテルでは、2019年に入り「仙台から3時間以内」というアクセスの良さを前面に打ち出しました。新幹線を活用すれば、仙台から新函館北斗までは最短2時間26分という驚きの早さで結ばれています。心理的な距離を縮めることで、東北と北海道をセットで楽しむ新しい旅のスタイルが定着しつつあります。
欧米の旅行者が特に注目しているのが、火山を意味する「ボルケーノ」と湖が織りなす絶景です。駒ケ岳を望む大沼公園の美しさは、日本を訪れる人々にとって隠れた名所として評判を呼んでいます。火山活動が育んだダイナミックな地形は、日本人には馴染み深くても、訪日客にとっては非常にエキゾチックで感動的な風景として、SNS映えするスポットにもなり得ます。
仙台空港が描く「空の道」!LCC拠点化と多言語対応の充実
仙台空港の存在感も飛躍的に高まっており、2019年に入ってからは、台湾や中国との路線が急増しています。特に台北線は、わずか3年前の週2便から現在の週19便へと驚異的な増加を記録しました。また、2017年には格安航空会社のピーチ・アビエーションが同空港を「第3の拠点」としたことで、国内外からのアクセスが劇的に改善されています。
インバウンド、すなわち訪日外国人客にとって、移動の利便性は旅の質を左右する極めて重要な要素です。JR東日本は2018年2月に、東北と南北海道の新幹線が乗り放題になる訪日客専用パスの販売を開始しました。これにより、1枚の切符で仙台から青森、そして函館へと抜ける壮大な周遊ルートが実現し、日本の魅力を一度に味わえる体験が提供されています。
2019年9月には、食の予約サイト「ぐるなび」なども参画し、8言語に対応した観光情報サイトが開設されました。外国人編集者の視点で編纂された情報は、従来の公式ガイドブックとは一線を画すリアリティがあります。東北観光推進機構の小縣会長が「東北の観光には大きな伸びしろがある」と語るように、デジタルとリアルの両面で受入体制が整いつつあります。
私自身の視点としても、この「仙台を起点にした広域連携」は非常に合理的で魅力的な戦略だと感じています。東京一極集中ではなく、東北という独自のアイデンティティを持つ地域が世界と直接つながることは、地方創生の最適解ではないでしょうか。2020年という大きな節目に向け、東北が日本の観光を牽引する主役に躍り出る日は、もうすぐそこに来ています。
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