【グローリーの挑戦】キャッシュレス時代でも「現金」は強い!海外進出で成長を加速させる貨幣処理機大手の戦略を徹底解説

貨幣処理機の大手であるグローリーが、今、海外市場を新たな成長エンジンとして据え、大きな転換期を迎えています。2019年5月13日に開催された決算説明会では、三和元純社長が「海外の小売店向けが新たな成長エンジン」だと力強く強調しました。その予測では、2021年3月期には海外売上高が1320億円に達し、これは2019年3月期と比べて約3割の大幅な増加になると見込まれています。そして注目すべきは、この海外売上高が、国内売上高の1280億円を初めて上回る見通しを示している点です。これは、グローリーの今後の事業の軸足が、明確に海外へとシフトしていることを示しており、非常に期待できる動きだと感じています。

海外での積極的な展開はすでに具体化しており、矢継ぎ早に新しい試みが打ち出されています。2019年に入ってからは、自動釣り銭機の小型モデルを海外市場へ投入し、大型チェーン店から個人商店まで、幅広い規模の店舗に対応できる製品ラインナップを確立しました。自動釣り銭機とは、レジでの現金の受け渡しと計算を自動で行う機械のことで、人為的なミスを防ぎ、業務効率を大幅に向上させる機器です。さらに、スペインでは2019年7月に、個人商店などをターゲットとした自動釣り銭機のレンタルサービスを開始する予定であり、イタリアやメキシコでは現地の販売会社を買収するなど、市場への浸透に向けた地盤固めを着々と進めている様子がうかがえます。

キャッシュレス決済が進んでいる欧米で、本当に自動釣り銭機の需要があるのかと疑問に思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、現実は私たちが想像するよりも複雑です。例えば、サンフランシスコ連邦準備銀行が2018年に公表したレポートによると、アメリカ合衆国における現金決済の割合は全体の3割にとどまり、たしかに減少傾向にあります。しかし、このレポートは同時に、年収2万5000ドル(日本円で約270万円)未満の世帯では、現金決済の割合が5割弱と依然として高い水準にあることを指摘しています。また、10ドル未満の少額決済においては、5割強で現金が利用されているというデータも示されているのです。

このデータは、キャッシュレス化が進む中でも、現金決済のニーズは決して消滅していないことを雄弁に物語っています。グローリーの三和社長が「キャッシュレス化だけでなく、現金決済の顧客の利便性も高めないと、顧客の満足度が落ちて競争力を失う」と解説しているように、多様な決済手段を持つことが、小売店にとって競争力を維持するための鍵となります。私は、この「現金決済の利便性向上」という、一見逆張りに見える戦略こそが、グローリーの海外市場における大きな勝機になると考えています。全ての顧客を置き去りにしない、インクルーシブな決済環境の整備は、企業としての社会的責任も果たしていると言えるでしょう。

また、グローリーは、従来の貨幣処理機の提供に留まらず、店舗のキャッシュレス決済の業務を代行する事業にも乗り出しています。これは、決済をめぐる小売店のあらゆる悩みに応えようという、極めて意欲的な試みです。今後は、日本でも普及が進むQRコード決済や、デジタル通貨など、新しい決済手段にも積極的に対応していく方針です。新事業を担当する藤井聡子執行役員は「小売店の決済関連のニーズ全てに対応できるようにしたい」と、事業にかける熱意を表明しています。決済の多様化は小売店の業務を複雑にしがちですが、その業務を一括して担うというこの事業は、店舗側の大きな助けとなるに違いありません。

海外市場主導による今後の成長シナリオを力強く訴えた決算説明会を受けて、グローリーの株価はわずかながら持ち直す動きを見せています。この勢いを確固たるものにし、投資家や市場の期待に応え続けるためには、今後、海外事業での具体的な実績と成長を継続的に示していく必要があるでしょう。現金という根強い需要に応えながら、同時にキャッシュレス決済の未来にも対応していくグローリーの多角的な戦略は、日本の技術が世界で通用する可能性を秘めていると私は確信しています。

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