愛媛県伊方町にある伊方原子力発電所にて、見過ごせない事態が相次いで発生しています。定期点検の最中に一時的な電源喪失が起きるなど、トラブルの連鎖が止まらない状況なのです。これを受けて四国電力は、2020年1月27日に愛媛県と伊方町を訪れて正式に謝罪を行いました。事態を極めて重く受け止めた同社は、原因究明と徹底的な安全対策を最優先にする決断を下しています。
今回の事態に対して、インターネット上のSNSでも多くのユーザーから厳しい声や不安の投稿が寄せられました。「生活に直結するインフラだからこそ、徹底的な情報開示をしてほしい」という要望や、「これほど問題が続くと地域住民の心労が計り知れない」といった懸念が拡散しています。こうした世論の動向からも、エネルギーの安定供給と地域社会への安全配慮が、どれほど強く求められているかが浮き彫りになったと言えるでしょう。
四国電力の長井啓介社長は2020年1月27日の午前、愛媛県庁に足を運び、「再発防止に全力で取り組む」と表明しました。これに対し、中村時広知事は「県民の不安と不信感はかつてないほど高まっている」と指摘し、東日本大震災以降の9年間でこれほどの危機はなかったと、厳しい認識を突きつけています。地域住民の命や生活を守る立場にある知事として、極めて当然かつ毅然とした要求であると感じられます。
この緊迫した事態を打開するため、四国電力は驚きの対応策を打ち出しました。なんと、期限を設けることなく副社長を伊方原発に常駐させる方針を決めたのです。この副社長は同社の「原子力本部長」を兼任する最高責任者であり、現場のトップが最前線で指揮を執ることになります。これまでは2011年の福島第一原発事故を教訓に高松市の本店から松山市へ拠点を移していましたが、今回はさらに一歩踏み込んだ形となりました。
ここで注目されるのが、原子力発電における「制御棒」の役割と重要性です。制御棒とは、原子炉の内部で核分裂の勢いをコントロールするために出し入れする、いわば原発のブレーキのような非常に重要な装置を指します。2020年1月12日、伊方3号機の原子炉容器から燃料を固定する装置をクレーンで引き上げる際、この制御棒が誤って一緒に1体つり上がってしまうという重大なトラブルが起きていたのです。
さらに追い打ちをかけるように、2020年1月25日の午後には送電線の不具合による停電が発生し、一時的に外部からの電源が絶たれる事態に陥りました。原発において電源の喪失は、冷却機能の停止に直結しかねない極めてデリケートな問題です。このように短期間で危険なトラブルが立て続けに起きてしまっては、地域住民が「本当に大丈夫なのだろうか」と大きな不信感を抱くのも無理はありません。
実は伊方原発を巡っては、2020年1月17日に広島高等裁判所が運転を差し止める仮処分の決定を下したばかりでした。当初、四国電力は直ちに異議を申し立てる構えを見せていましたが、長井社長は「今はそのような申し立てができる状況ではない」と言及しています。法的措置への対抗をしばらくの間見送るというこの判断は、まずは目の前にある現場の安全性を取り戻すことが最優先であるというメッセージでしょう。
長井社長は今後、自身も現地へ何度も足を運び、従業員の方々と少人数でのディスカッションを重ねて危機意識の共有を図ると説明しています。また、同日の午後には伊方町の高門清彦町長にも謝罪を行いましたが、町側からは「信頼を根幹から揺るがしかねない」という強い注意文書が手渡されました。失われた信頼を回復する道のりは決して平坦ではありませんが、四国電力には誠実な変革が求められます。
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