次世代の社会基盤を揺るがす大きな決断が下されました。英国政府は2020年01月28日、次世代通信規格「5G」のインフラ構築において、中国の通信機器大手である華為技術(ファーウェイ)の製品を限定的に容認すると発表したのです。
この決定はSNS上でも大きな波紋を広げており、「経済的な実利をとった賢明な判断だ」という声がある一方で、「安全保障の面で本当に大丈夫なのか」といった懸念の投稿も相次いでいます。世界中がこの動向を注視していると言えるでしょう。
そもそも「5G」とは、現在よりも圧倒的に高速で、大量のデータを同時に遅延なく送受信できる新しい通信の仕組みのことです。自動運転や遠隔医療など、未来のテクノロジーを実現するために欠かせない中核の技術として期待を集めています。
英政府の発表によると、機密性の高いネットワークの「中核部分」からは同社のような高リスク企業を排除するとのことです。しかし、アンテナなどの周辺機器が集まる「基地局」に関しては、全体の35%を上限に使用を認める方針を示しました。
当然ながら、核関連施設や軍事拠点といった極めて重要な場所からは完全に除外されます。ファーウェイ側は2020年01月28日に声明を出し、英国に安全で高性能な通信基盤を提供できるとして、今回の決定を好意的に受け止めています。
しかし、この決定は同社の完全排除を強く迫ってきた米国との間に、深刻な溝を生む可能性をはらんでいます。トランプ米大統領は2020年01月24日にもジョンソン英首相と電話会談を行い、圧力をかけてきた経緯があるからです。
さらに、2020年01月29日にはポンペオ米国務長官がイギリスを訪問し、首脳陣と会談する予定となっています。米国はこれまで、ファーウェイ製品を採用する国に対して、機密情報の共有制限や経済的な制裁措置をちらつかせてきました。
英国は、米国や主要国と秘密のインフラ情報を分かち合う国際的な枠組み「ファイブアイズ」の重要な一員です。それにもかかわらず、なぜ英国は米国の要請を拒み、中国企業の製品を受け入れる選択をしたのでしょうか。
最大の理由は、圧倒的なコストパフォーマンスと技術力にあります。同社の製品は他社より2〜3割も安価とされており、すでに英国の通信網に深く組み込まれているため、完全排除は5Gの普及を遅らせる致命傷になりかねません。
また、安全性の捉え方にも違いがあります。英国の専門家は、心臓部さえ守れば周辺機器の導入は制御可能だと分析しました。これに対し、米国側はアンテナひとつ設置されるだけでも情報の漏洩につながる重大な脅威だと主張しています。
私は、今回の英国の決断は現実的な妥協点を探った結果だと考えます。米国への義理や安全への不安は残るものの、最先端技術の導入遅れによる国際競争力の低下は、国家にとってそれ以上の大打撃になるという冷徹な計算が見て取れます。
欧州全体を見渡しても、同様の動きが加速しています。ドイツは2019年10月に事実上の容認姿勢に傾いており、フランスやスイスも排除しない方針を鮮明にしています。米中の狭間で揺れる通信の未来から、今後も目が離せません。
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