日本原子力発電が茨城県に構える東海第二原子力発電所について、安全対策工事の完了時期を当初予定の2021年3月から2022年12月へと、1年9カ月も先送りすることを2020年1月28日に発表しました。この防潮堤などの建設遅延により、期待されていた再稼働の時期は最短でも2023年以降にずれ込む見通しです。SNS上では「安全第一だから慎重に進めてほしい」という声がある一方で、「電気料金への影響が心配」「本当に再稼働できるのか」といった不安や疑問の対立が目立っています。
今回の延期の主因は、世界で最も厳格とされる日本の「新規制基準」をクリアするための大規模工事が難航している点にあります。新規制基準とは、東日本大震災の教訓を踏まえて策定された、地震や津波に対する非常に厳しい安全物差しです。この基準を満たすために東海第二原発では、高さ20メートルに及ぶ巨大な防潮堤の設置や、万が一の事態に備えた冷却設備の整備を進めていますが、日本原子力発電は工事の進捗管理の甘さを認める形となりました。
経営リスクの深刻化と地元同意の壁
発電所がすべて停止している日本原子力発電は現在、自社で電気を生み出せていません。にもかかわらず、東京電力ホールディングスや東北電力といった大手電力会社から毎年約1000億円もの「基本料金」を受け取ることで経営を維持している歪な状態です。工事が長引くほど稼働ゼロの期間が延びるため、同社の経営環境がさらに悪化するのは避けられないでしょう。他社の資金に依存し続ける体制には、業界内からも厳しい視線が注がれています。
メディアの視点として指摘したいのは、工事の遅れだけでなく「地元の理解」という巨大な壁が残されている点です。たとえ2022年12月にハード面が完成したとしても、周辺自治体や住民の同意が得られなければ、原発を再び動かすことはできません。日本原子力発電は、安全性の確保に向けた丁寧な情報公開と地域との対話を徹底すべきです。信頼回復を最優先にしなければ、再稼働への道筋はいつまでも不透明なままでしょう。
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