米中対立の「持久戦」で日本を厚遇?2019年12月24日、日中首脳が北京で描く新たな外交戦略の深層

2019年12月24日に中国の成都で開催される日中韓首脳会談を控え、北京では重要な前哨戦が繰り広げられました。前日の2019年12月23日、中国の習近平国家主席は北京を訪れた安倍晋三首相を夕食会という形で手厚く歓迎したのです。かつての冷え込んだ時期を思えば、この「厚遇」ぶりには両国の戦略的な思惑が強く滲み出ていると言わざるを得ません。

中国が日本へ歩み寄る背景には、激化するアメリカとのハイテク覇権争いが存在します。トランプ政権との対立が長期化するなか、中国はアメリカと良好な関係を維持している日本を、事態打開のヒントを持つ存在として頼りにしているのでしょう。SNS上でも「中国がこれほど日本に接近するのは異例だ」「米中バランスの調整役として日本の手腕が問われる」といった驚きと期待の声が広がっています。

2019年12月13日には、米中両国が貿易交渉で「第1段階の合意」に達し、追加関税の応酬には一旦の歯止めがかかりました。しかし、中国側は農産品の具体的な輸入規模を明言しておらず、華為技術(ファーウェイ)などを巡るハイテク分野の対立解消も出口が見えないままです。ここでいう「ハイテク覇権」とは、次世代通信規格5Gなどの先端技術でどちらが世界の主導権を握るかという、国家の命運をかけた争いを指します。

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米国依存からの脱却を目指す中国の「持久戦」

習近平指導部は、2019年12月10日から12日にかけて開かれた「中央経済工作会議」において、2020年の経済方針を固めました。この会議は中国の経済政策を決定する最重要の場であり、そこで習氏は輸出市場の多様化を強く訴えています。実際に2019年11月の対米輸出は前年比23%減という厳しい数字を記録しており、中国にとって「米国に頼らない経済体制」の構築は一刻を争う課題なのです。

興味深いのは、中国政府がシンクタンクを通じて日本の研究者らに熱心な聞き取りを行っている点です。「対米摩擦をどう緩和すべきか、日本の経験を教えてほしい」という彼らの姿勢からは、なりふり構わず現状を突破しようとする執念が感じられます。長年アメリカと向き合ってきた日本の知恵を、自国の持久戦に活かそうとする巧妙な戦略と言えるでしょう。

ただし、この「日中新時代」が盤石であるとは言い切れません。2019年8月に中距離核戦力(INF)廃棄条約が失効したことで、東アジアの安全保障環境は一変しました。これは地上から発射される射程500キロから5500キロのミサイルを禁止していたルールが消滅したことを意味します。アメリカが中国を射程に収めるミサイルを日本などに配備すれば、日中関係が再び氷河期へ逆戻りするリスクは常に孕んでいます。

私個人の見解としては、中国の歩み寄りはあくまで「戦術的な一時停止」に過ぎないと考えています。自国の利益を最大化するために日本を利用しようとする姿勢は明白ですが、日本にとってはこれを機に多角的な外交カードを持つチャンスでもあります。単なる厚遇に浮足立つことなく、安全保障と経済のバランスを冷静に見極める、極めて高度な外交センスが今まさに求められているのではないでしょうか。

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