2019年12月20日のニューヨーク株式市場は、投資家たちの熱狂に包まれました。ダウ工業株30種平均が連日で史上最高値を塗り替え、ついに年間の上昇幅が過去最大を記録したのです。昨年末と比較すると5127ドルもの大幅な値上がりとなり、2017年に記録したこれまでの最高記録を塗り替える歴史的な局面を迎えています。
SNS上でも「米国株の勢いが止まらない」「持っている銘柄が軒並みプラス」といった喜びの声が溢れ、お祭りムードが漂っています。昨年末からの時価総額の増加額は約7兆5100億ドルに達し、日本市場の約6倍という圧倒的な規模感を見せつけました。わずか1年でこれほどの成長を遂げる米国の底力には、驚きを隠せません。
悲観から楽観へ!投資家心理を劇的に変えた要因とは
なぜ、ここまで市場は活気づいているのでしょうか。その背景には、世界経済を覆っていた霧が晴れつつあることが挙げられます。米中貿易交渉が「第1段階の合意」に至ったことや、イギリスのEU離脱に関する不透明感が和らいだことで、投資家のマインドは「悲観」から「楽観」へと劇的なシフトを遂げたのです。
最新の投資家調査では、今後1年の景気が良くなると予想する声が急増しており、その回復幅は過去最大級となっています。さらに、米連邦準備理事会(FRB)による適切な金利調整も功を奏しました。FRBとは、日本でいう日本銀行のような役割を担う中央銀行ですが、この低金利政策が景気を強力にバックアップしているのでしょう。
安全資産である現金や国債に眠っていた膨大な資金が、再び株式市場へと流れ込んでいます。編集者の視点から見れば、まさに「待機資金の逆流」が起きている状態です。世界的なカネ余り現象が、米国株という最も信頼できる器に集約されている様子がうかがえます。
GAFAを筆頭とするハイテク株と金融セクターの躍進
今回の相場を牽引しているのは、やはりIT関連のスター企業たちです。特にアップルの株価は2019年だけで77%も上昇し、時価総額で米企業の歴代記録を更新し続けています。マイクロソフトやフェイスブックといった巨大IT企業も50%を超える上昇を見せており、もはや無双状態と言っても過言ではありません。
また、景気のバロメーターである金融株も好調です。50年ぶりという低失業率を背景に、個人の住宅ローンやクレジットカードの利用が活発化していることが要因でしょう。JPモルガン・チェースなどの大手銀行も40%を超える上昇を記録しており、実体経済の力強さが株価を力強く押し上げています。
2020年の展望と「期待先行」への警戒感
しかし、このバラ色のシナリオがいつまで続くかは慎重に見極める必要があります。現在の株価水準を測る指標であるPER(株価収益率)は、過去20年の上限に近い水準まで高まっています。PERとは、株価が1株あたりの利益の何倍まで買われているかを示す尺度ですが、今の市場は少し「背伸び」をしている状態かもしれません。
2020年11月には米大統領選挙という大きな政治イベントが控えています。結果次第ではこれまでの経済政策が180度転換するリスクもあり、米中対立の火種も完全に消えたわけではありません。証券各社の予測も、現状からさらに7%程度の上昇に留まるとする控えめな見方が目立っており、冷静な判断が求められるでしょう。
個人的には、現在の高揚感は心地よい反面、利益確定の売りがいつ出てもおかしくない危うさも孕んでいると感じます。2020年は、期待だけで買われるフェーズから、企業が実際にどれだけの利益を出せるかという「実力」が問われる1年になるのではないでしょうか。
コメント