中東の地で、未来の平和を揺るがす大きな激震が走りました。アメリカのトランプ大統領が新たな中東和平案を発表したものの、これに対してパレスチナ自治政府のアッバス議長が猛烈に反発しています。2020年1月28日、ヨルダン川西岸のラマラで開かれた記者会見の席で、議長は「1000回でもノーと言う」と語り、アメリカの提案を完全に突っぱねる姿勢を鮮明にしました。この毅然とした拒絶のポーズに対し、SNS上では「民族の誇りを守った」という称賛の声が相次いでいます。
今回の和平案は、表向きはパレスチナを国家として承認するという、一見すると進展のように思える内容でした。しかしその内実を探ると、パレスチナ側がとうてい受け入れられない条件が隠されています。国家の基盤となる首都の場所について、アメリカは「東エルサレム」への設置を認めると提示しました。ですが、実際に指定されたのは歴史的な聖地が存在する本来のエリアではなく、その「郊外」に過ぎません。これでは名ばかりの首都であり、パレスチナの人々が納得しないのは当然です。
ここで鍵となる「東エルサレム」という専門用語について、少し分かりやすく解説しましょう。エルサレムは、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教という3つの宗教にとって、この上なく重要な「聖地」が集中する奇跡の街です。1967年の戦争以降、イスラエルがこの地を実質的に支配していますが、パレスチナ側も将来の独立国家における悲願の首都として、東エルサレムの主権を主張し続けてきました。つまり、単なる土地の問題ではなく、魂の拠り所を巡る争いなのです。
トランプ氏は今回の提案に際し、「エルサレムはイスラエルの不可分の首都である」と強調しました。つまり、聖地を含む中心部はすべてイスラエルのものだと断言したに等しく、この発言が火に油を注ぐ結果となっています。アッバス議長が会見の場で「トランプ氏の語ったことは、ばかげた戯言だ」と語気を強めて批判したのも無理はありません。ネット上でも「これは和平の提案ではなく、一方的な押し付けだ」といった不満や批判の声が渦巻いています。
私は、今回のアメリカの外交姿勢には大いなる疑問を抱かざるを得ません。平和をもたらすための仲介役であるはずの超大国が、片方の当事者であるイスラエルに極端に偏ったプランを提示することは、火種をさらに大きくする行為ではないでしょうか。真の和平とは、歴史や宗教的な背景を互いに尊重し、対等な対話の中からしか生まれません。今回の強硬なアプローチは、かえって中東地域の安定を遠ざけ、人々の分断を深めてしまう危険性を孕んでいると感じます。
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