ウナギ好きの皆さんに、とても嬉しくワクワクするニュースが飛び込んできました。私たちが大好きなニホンウナギの稚魚である「シラスウナギ」が、今シーズンは記録的な大豊漁に沸いているのです。2019年12月から漁がスタートして以来、わずか2カ月弱で水揚げ量が約8トンに到達しました。これは前年の同じ時期と比べるとなんと約20倍という驚異的な数字であり、前年度のトータル実績である3.7トンをも大幅に上回る大復活を遂げています。
この異例とも言える大豊漁の波は、2019年12月のクリスマス前後から本格化しました。千葉県や茨城県といった関東近郊から、静岡県、さらには九州地方に至るまで、全国各地の沿岸で順調すぎるほどの水揚げが続いています。ネット上でも「今年はウナギが安く食べられるかも」「神様からの最高のクリスマスプレゼントだ」といった歓喜の声が溢れており、多くの消費者が今から夏の土用の丑の日を心待ちにしている様子が伺えます。
シラスウナギとは、ウナギの卵が海で孵化して成長し、透明な体のまま川へ上ってくる生後数カ月の稚魚のことです。養殖業者はこの稚魚を採捕して養殖池(専用のビニールハウス池など)に放ち、成魚になるまで大切に育てます。稚魚を池に入れてから出荷できる大きさに育てるまで、最も成長が早い場合で約6カ月が必要です。毎年夏に訪れるウナギ消費のピークに向けては、全国で約7トンの稚魚が必要とされていますが、今年は早くもその需要を上回る供給量が確保されました。
“白いダイヤ”の取引価格が暴落!?気になる今夏の蒲焼きのお値段
シラスウナギはその希少価値の高さから、業界では「白いダイヤ」という異名で呼ばれています。過去2年間にわたる深刻な不漁の時期には、取引価格が1キログラムあたり200万円から300万円という、10年前の2倍以上の高値にまで跳ね上がっていました。しかし、これだけ豊漁となれば市場の原理で価格は下がります。2020年1月の年始こそ買い手側の意欲が強く200万円前後を維持していましたが、現在は100万円台まで急落している状況です。
さらに2月以降に漁が再開されれば、業界内では「1キログラムあたり100万円を割り込むのではないか」という予測も飛び交っています。短期間に大量に獲れすぎたため、一部の地域では市場価格の暴落を防ぐ目的で漁を一時的に休止する事態も起きました。過去最低の不漁に泣かされ続けた直近の2年間とは状況が一変したことで、九州地方の養殖業者からは「これで今年の夏は一安心、胸を撫で下ろしている」といった安堵の声が漏れ聞こえています。
ただし、私たちの食卓に安価なウナギが届くまでには、まだ少し時間がかかるかもしれません。過去の不漁の影響により、ウナギ専門店などが今すぐ必要としている大人の「親ウナギ」は、現在でも極端な品薄状態が続いています。卸売価格は1キログラムあたり5500円から5900円前後と、この時期としては過去最高値をキープしており、4月頃には市場の在庫が底を突くのではないかという強い危機感を抱く専門家も少なくありません。
しかし、このまま2月以降もシラスウナギの豊漁が続き、仕入れ価格の低下が親ウナギの価格に反映されれば、スーパーに並ぶ蒲焼きの小売価格も値下がりするでしょう。2019年の夏には国産ウナギの蒲焼き1匹が2300円から2500円前後で販売されていましたが、水産卸大手は「今夏は1900円台まで下がる可能性がある」と指摘しています。2000円を切る価格で国産ウナギが味わえるかもしれないと思うと、期待が膨らみますね。
東アジア全体が沸く豊漁、だからこそ考えたい未来への資源管理
この嬉しい現象は日本国内に留まらず、東アジアの広い地域でも同様に見られます。現在の集計では中国が6トン、韓国が2トン、台湾が1トンほどの水揚げを記録しました。前年度の東アジア全体の合計漁獲量が約20トンだったのに対し、今年度はわずか2カ月でその実績に迫る勢いを見せています。日本は国内産だけで需要を満たせない場合にこれら近隣諸国から融通してもらっているため、輸入商社からは「向こう2年間は供給の心配がない」と歓迎の声が上がっています。
ウナギの生態にはまだ解明されていない謎が多く、今年度にこれほど多くの稚魚が戻ってきた明確な理由は分かっていません。水産庁は「養殖池に入れる稚魚の量を厳格に制限してきた、これまでの資源管理の取り組みが実を結んだ」という前向きな見解を示しています。長年にわたる関係者の努力が、この好結果に繋がったのだとすれば素晴らしいことです。私個人としても、持続可能な漁業のためのルール作りがいかに重要かを実感させられます。
しかし、手放しで大喜びしてばかりもいられません。ウナギの漁獲量は年ごとの変動が非常に激しく、水産庁の専門家も「豊漁の年であっても、ある日突然全く獲れなくなるリスクがある」と警鐘を鳴らしています。長期的なデータを見ても、1970年代の後半以降、シラスウナギの漁獲量は全体として減少傾向にあります。一時的な豊漁に一喜一憂せず、今こそ私たちは大切な水産資源を守る視点を持つべきではないでしょうか。
ウナギという日本の伝統的な食文化を未来の世代へ残していくためには、まだまだ解決すべき課題が山積みです。目の前の乱獲を防いで適切な漁獲ルールを守り続けることはもちろん、天然のウナギが健やかに育つことができるよう、河川の環境保護にも社会全体で取り組んでいく必要があります。今年の夏は、お財布に優しい価格で美味しいウナギを堪能しつつ、その一匹の命や自然の恵みに感謝する特別な季節にしたいものです。
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