三輪タクシーが走り、牛がのんびりと行き交う伝統的なインドの風景が、今まさに劇的な変化を遂げています。中間所得層の拡大やスマートフォンの普及を背景に、現地ではネット通販やヘルスケアなどの分野で新興企業が次々と誕生しているのです。この熱気に対してSNSでは「インドの進化のスピードが凄まじい」「もはやIT後進国なんて言えない」といった驚きの声が相次いでいます。
特に注目を集めるのが、2019年に設立されたバーラトペ社です。彼らは100種類以上の決済方法を解析し、わずか1枚のQRコードにまとめる革新的な技術を開発しました。店側は複数のコードを用意する必要がなく、2020年1月30日時点で既に250万もの小売店が導入しています。決済手数料を無料にしてデータを集め、それを基に小規模店へローンを提案するビジネスモデルは見事です。
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日本を圧倒する「ユニコーン企業」の誕生数
現在のインドにおけるスタートアップの増加率は驚異的です。現地のソフトウエア企業協会によると、2017年時点で約7000社だった新興企業は、2019年には約9000社へと急増しました。さらに、企業価値が10億ドル(約1100億円)を超える未上場企業、いわゆる「ユニコーン企業」の数でも日本を圧倒しています。日本がわずか3社に留まる中、インドは20社を数え、世界4位の座に君臨しているのです。
この驚異的な成長を支えているのが、米国シリコンバレーなどで経験を積んで帰国した「還流組」と呼ばれる超優秀なIT人材たちです。世界最高峰のインド工科大学などを卒業後、アメリカの巨大IT企業で最先端の技術や経営ノウハウを学び、母国の社会課題を解決するために戻ってきた起業家たちが、現在のインド経済を強力に牽引しています。
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日常の不便を解消するアイデアと最先端の医療テック
生活に密着したサービスも進化しています。日用品宅配を手掛けるミルクバスケット社は、午前0時までの注文を翌朝7時までに届けるスピード配送を実現しました。これは、複数の業者が介在するインドの複雑な物流を改革し、メーカーと直接取引することでコストを削減した成果です。「妻のお使い」という日常の些細な気づきから、毎月200万件を配送する巨大サービスへと成長を遂げました。
また、13億人の人口に対して医師が不足している医療分野でも、ITの力が存分に発揮されています。2014年に創業したヘルシアンズ社は、バイクで自宅を訪れて採血を行う在宅血液検査を展開し、中高所得層の心を掴みました。さらにエムファイン社は、AIを活用したオンライン診療で30万人もの利用者を抱えています。事前にAIが問診を処理することで、診断時間を5分の1に短縮しました。
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編集部がみるインド市場の未来と日本企業への提言
これほどまでにイノベーションが加速するインドの現状を目の当たりにすると、私たちは「技術大国・日本」という過去のプライドを捨て、謙虚に彼らから学ぶべきだと強く感じます。単に人口が多い市場として見るのではなく、社会課題をテクノロジーで解決する「課題解決の先進国」として捉えるべきです。日本の優れた資金力や緻密な管理技術を、インドのスピード感あるIT人材と掛け合わせるべきでしょう。
投資家の資金も集まっており、2019年1月から8月までの調達額は前年を16%も上回る42億ドルに達しています。日本の東京海上ホールディングスのように、すでに現地の企業へ出資する動きも始まっていますが、この流れに乗り遅れてはなりません。ビジネスの常識を次々と塗り替えるインドのスタートアップ市場から、今後も決して目が離せそうにありません。
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