日本発の「ユニコーン企業」として、常に時代の最先端を走り続けてきた株式会社メルカリが、大きな転換点を迎えています。2019年09月27日、同社は山田進太郎会長兼最高経営責任者(CEO)が社長に復帰するという、衝撃的な人事異動を発表しました。これに伴い、これまで現場を牽引してきた小泉文明社長兼最高執行責任者(COO)は会長へと就任し、創業者が再び経営の全権を掌握する体制へと移行します。
2017年04月以来、約2年半ぶりとなる山田氏の社長復帰には、市場からも「いよいよ本腰を入れた改革が始まる」と大きな期待が寄せられているようです。SNS上では「やはり創業者のカリスマ性が必要な時期に来たのか」という納得の声がある一方で、直近の業績に対する厳しい目線も注がれています。今回のトップ交代は、単なる役職の変更ではなく、停滞感を打破するための背水の陣とも言える決断でしょう。
これまでは、山田氏が海外事業、小泉氏が国内事業を担う分業体制が敷かれてきましたが、現実は甘くありませんでした。スマートフォンの普及とともにフリマアプリを日本の文化として定着させた同社ですが、2018年06月の上場時には約8,000億円を誇った時価総額が、現在はその半分である約4,005億円にまで落ち込んでいます。この危機的な状況に対し、権限を一人に集中させることで迅速な意思決定を目指す狙いがあるようです。
海外苦戦と決済競争の荒波を乗り越えられるか
現在のメルカリが直面している壁は、決して低くはありません。特に海外事業においては苦戦を強いられており、英国からの撤退を余儀なくされたほか、巨大市場である米国でも流通総額が目標の3分の1にとどまっています。専門用語で「ユニコーン企業」とは、企業価値が10億ドル(約1,100億円)を超える設立10年以内の未上場企業を指しますが、上場後の今、その真の実力が改めて厳しく問われていると言えます。
国内においても、楽天などの競合他社が猛追を仕掛けているほか、多額の先行投資を続けているスマホ決済サービス「メルペイ」の動向が鍵を握っています。登録者数は400万人を突破したものの、ソフトバンク系の「PayPay(ペイペイ)」などが繰り出す圧倒的な資本力による還元キャンペーンの後塵を拝しているのが現状です。先行投資による赤字拡大は、成長痛として受け入れるべきか、それとも戦略ミスなのか、投資家の判断は分かれています。
2019年06月期の連結最終損益が137億円の赤字という結果を受け、株式市場からは「成長と利益の両立」を求める声がかつてないほど高まっています。世界に目を向ければ、シェアオフィス大手の米ウィーカンパニーが上場を延期するなど、新興企業の勢いに陰りが見え始めています。こうした中で、メルカリが日本を代表するテック企業として、再び右肩上がりの成長曲線を描けるかどうかが注目されているのです。
私自身の見解としては、今回の山田氏の復帰は非常にポジティブな一手だと感じます。創業者の持つ強烈なリーダーシップは、組織が巨大化し、意思決定が複雑化した際に最大の武器となるからです。小泉氏が会長として経団連などの対外活動や鹿島アントラーズの経営に注力し、山田氏が事業戦略の舵取りに専念するこの布陣が、停滞するムードを一掃し、メルカリを真のグローバル企業へと押し上げることを期待せずにはいられません。
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