大阪市は2020年1月29日、深刻な課題となっている老朽化した水道管の交換業務と工業用水事業について、民間企業の力を借りる「民営化」の方針を戦略会議にて決定しました。これは「コンセッション方式」と呼ばれる仕組みで、市が水道施設などの所有権を持ったまま、運営する権利だけを民間事業者に売却する手法です。SNSでは「ついに水道も民営化か」「災害対策として早く進むなら大歓迎」といった期待の声が上がる一方で、「水質や料金は大丈夫?」と不安視する投稿も相次ぎ、大きな注目を集めています。
市内の水道管は全長約5100キロメートルにも及びますが、2019年3月31日時点で、法律で定められた耐用年数である40年を超えた水道管の割合が48%に達しています。この数字は全国の政令指定都市の中でもワースト1位という非常に厳しい現実です。これまでの市の体制のまま1800キロメートルを交換しようとすると、25年以上もの歳月が必要だと試算されていました。近い将来に発生が危惧される南海トラフ巨大地震への備えを考えると、一刻も早いインフラの強靭化が求められています。
コンセッション方式のメリットと安全への取り組み
そこで導入されるのが今回の新方式です。2020年2月から始まる市議会に関連条例の議案が提出され、可決されれば同年4月には事業者の募集要項が公表されます。順調に進めば早くて2022年4月1日からの事業開始を目指すスケジュールです。今回の計画では、16年間という期間で1800キロメートル以上の水道管を一気に新しくします。工事ごとの煩雑な入札手続きが不要になり、民間の柔軟なノウハウを活用した効率的な施工が可能になるため、事業費を約10.5%も削減できる見通しです。
最も気になる水道料金ですが、こちらは市条例で定められているため、民営化されたからといって勝手に値上げされることはありません。しかし、命に直結する水道事業の民間委託に対して、市議会などからは依然として慎重な意見や抵抗感が根強く存在します。そこで大阪市は、計画段階から実際の施工に至るまで厳重なモニタリングを実施し、不備があればやり直しを命じる方針です。さらに外部の有識者による厳格なチェック体制も設け、安全性と透明性を徹底的に確保する構えを見せています。
インフラの老朽化は日本全国の自治体が抱える深刻な頭痛の種であり、大阪市のこの果敢な挑戦は、今後の地方自治体のあり方を占う重要な試金石となるはずです。民間活力の導入により、コストを抑えつつ市民の安全を守るスピード感が生まれることは非常に有意義だと私は考えます。ただし、海外の水道民営化で発生したトラブルの事例を教訓に、行政には「最後の砦」として民間事業者を徹底的に監視し、質の高い水を安定して供給し続ける重い責任を果たしてほしいと切に願います。
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