日本の再生可能エネルギーを牽引するはずの太陽光発電が、今まさに大きな岐路に立たされています。2012年度に始まった固定価格買い取り制度(FIT)のバブル期に認定を受けながら、建設が進まない「未稼働案件」が深刻化しているのです。事業用太陽光発電のうち、なんと約半数が宙に浮いた状態にあります。ネット上でも「電気料金に上乗せされる賦課金の負担が増えるだけでは」といった不安の声や、「早く有効活用してほしい」という厳しい意見が飛び交っています。
そもそもFIT制度とは、再生可能エネルギーで発電した電気を、電力会社が一定期間固定価格で買い取ることを国が保証する仕組みです。制度開始当初は1キロワット時あたり40円という高い買い取り価格が設定されたため、多くの事業者が殺到しました。しかし、太陽光パネルの調達コストが下がるのを待つうちに送電網の空きがなくなったり、開発資金が底を突いたりするケースが続出します。2019年3月31日時点で、認定容量の45%が未稼働という異常事態に陥りました。
この窮地を救うべく、米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)傘下であるエクセリオが、画期的な資金調達の新手法を検討し始めました。従来の開発では、プロジェクトごとに特別目的会社(SPC)という特定の事業だけを行うペーパーカンパニーを設立し、銀行からの借入金に頼るのが一般的です。しかし現在は資金集めが難航しているため、新たなスキームでは銀行融資を使わず、複数の投資家から原資を募る匿名組合の出資金だけで総工費をまかないます。
この仕組みは、環境や社会への貢献度を重視して投資先を選ぶ「ESG投資」の世界的な潮流を意識したものです。電力会社の社債よりも高い利回りが見込める魅力的な金融商品として、年金基金などの機関投資家から熱い視線を集めています。エクセリオは、早ければ2020年夏の東北地方での開発案件からこの手法を導入する構えです。他社の未稼働権利を買い取って自社資金で送電網を整備し、2020年4月から稼働へこぎつけるヴィーナ・エナジーのような力強い動きも出てきました。
経済産業省も指をくわえて見ているわけではありません。2017年4月1日の改正FIT法施行を皮切りに、期限内に稼働しない案件の買い取り期間を短縮するなど、段階的に規制を強化してきました。さらに2018年12月には過去の契約にまで遡って買い取り価格を減額する強硬策を打ち出し、すでに膨大な規模の認定を失効させています。2020年の通常国会でも、一定期間未稼働のまま放置された案件の認定を自動的に失効させる法改正案が提出される予定です。
政府は2030年度までに太陽光発電の導入量を6400万キロワットにする目標を掲げていますが、2019年3月31日時点ではまだ4456万キロワットと、目標には遠く及びません。外資系ファンドによる新手法は開発を加速させる特効薬に見えますが、買い取り費用の原資が私たちの電気料金に上乗せされる「再生可能エネルギー発電促進賦課金」である以上、安易な開発は国民の負担増に直結します。制度の歪みを正し、真に持続可能な形でクリーンエネルギーを普及させる賢明なかじ取りが、今こそ求められているのではないでしょうか。
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