アジアの医薬品業界に、地殻変動を予感させる巨大なニュースが飛び込んできました。韓国の新興製薬大手であるセルトリオンが、中国の武漢市に同社初となる海外のバイオ医薬品工場を建設することを、2020年01月21日に発表したのです。その投資額は2025年までに6000億ウォン、日本円にして約566億円以上という破格の規模を誇ります。2020年の上半期にはいよいよ着工を迎える予定であり、アジア全体の医療ビジネスの勢力図が大きく塗り替わる可能性を秘めているでしょう。
ネット上でも今回の巨額投資は注目の的となっています。SNSでは「武漢への進出は攻めた戦略」「バイオ医薬品の勢いが止まらない」といった驚きの声が相次いでいる状況です。最先端の医療技術を持つ企業が中国市場へ本格的に乗り出す姿に、多くのビジネスパーソンや医療関係者が高い関心を寄せています。これほどまでの熱い視線を浴びる背景には、同社が誇る驚異的な成長スピードと、緻密に計算されたグローバル戦略があるに違いありません。
ここで注目したいのが、セルトリオンの代名詞とも言える「バイオシミラー」という存在です。これは、遺伝子組み換えなどの高度な技術で作られた高価な「バイオ医薬品」の後発品、いわゆる特許が切れた後に作られる新しいジェネリック医薬品のことを指します。従来の化学合成でつくる薬とは異なり、生物の力を借りて製造するため非常に高い技術力が必要とされます。同社は2002年の創業以来、この難度の高い分野で圧倒的な存在感を示してきました。
実際の業績を見ても、その実力は折り紙付きと言えます。2018年12月期の売上高は9820億ウォンに達しており、営業利益も3382億ウォンと、非常に高い利益率を維持しているのです。しかし、これまで主戦場としていた韓国国内や欧米の市場では、すでに自社製品の普及が一段落したと見られています。そこで、次なる爆発的な成長の舞台として白羽の矢が立ったのが、巨大な人口と医療ニーズを抱える中国市場だったのでしょう。
編集者としての視点から見ると、今回の武漢への進出は極めて合理的であり、同時に壮大な勝負に出た素晴らしい決断だと感じます。なぜなら武漢市は、すでに300以上の開発センターが集まるバイオ医薬品の一大拠点だからです。行政からの手厚い誘致支援に加え、優秀な研究者や技術者といった人材が豊富に眠るこの土地を選ぶことは、今後の研究開発において最大のアドバンテージになるはずです。攻めの姿勢を崩さない同社の選択に拍手を送りたいと思います。
さらに同社は、自社ブランドの製造だけでなく、中国国内の製薬会社から生産を請け負う「医薬品製造受託(CMO)」事業も展開する方針です。年間12万リットルという驚異的な生産能力を備える予定の巨大工場は、中国市場におけるバイオ医薬品のプラットフォームとなる可能性を秘めています。すでに中国当局への販売承認手続きも始まっており、アジアから世界を変える製薬大手の新たな挑戦から、今後も目が離せそうにありません。
コメント