健康食品の広告に革命?「痩せる」「治る」の表現が危ない理由と自主ルールのゆくえ

「食べるだけで理想の体型に」「飲むだけで悩みが消える」。健康食品の広告で目にする、そんな魅力的な言葉の数々。しかし、その小さく添えられた「体験談は個人の感想です」という一文を信じていいのでしょうか。今、行政による摘発の波が、この業界を大きく揺るがしています。

2019年度だけでも、景品表示法に基づき5件の措置命令や課徴金納付命令が出されました。問題視されているのは、科学的根拠が乏しいのにあたかも劇的な効果があるかのように誤認させる表現です。SNS上でも「これなら痩せられると思ったのに」「誇大広告に騙された気分」といった消費者の戸惑いや憤りの声が後を絶ちません。

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重畳規制という高いハードル

事業者にとって頭が痛いのは、健康食品が「重畳(ちょうじょう)規制」の対象であるという点です。これは一つの商品に対して、景品表示法、健康増進法、医薬品医療機器法(薬機法)など、複数の法律が幾重にも重なって適用される状況を指します。

どの法律にどう抵触するのか、現場の事業者には先が見えにくいのが実情です。さらに、消費者庁に届け出る「機能性表示食品」という制度があっても、それが直ちに安全や合法性の保証にはなりません。この「届け出したから大丈夫だろう」という事業者側の期待と、当局の厳しい監視の目との間には、深い溝があると言わざるを得ません。

「事後チェック指針」と公正競争規約への期待

この混乱を収めるため、消費者庁は2020年1月16日に「事後チェック指針」の案を公表しました。届け出内容以上に広告を「盛らない」ことを明確にし、何が不当表示にあたるのかを分かりやすく示すための重要な一歩です。私も、行政が事業者と対話を重ねてルール作りを進めるこの姿勢は、非常に価値あることだと感じています。

さらに業界側も、2019年10月から「公正競争規約」の策定という大きな挑戦を始めました。これは業界団体が自主ルールを決め、行政の認定を受けることで、直接的な行政処分を回避しつつ、悪質な業者との差別化を図る仕組みです。

ただし、何でも表現を制限すればよいというわけではありません。消費者の信頼を回復しつつ、商品の価値を正しく伝えるというバランス感覚が問われています。詳細すぎるルールは表現を殺し、甘すぎるルールは外部の理解を得られません。業界が一致団結し、信頼の証となるルールを作れるか。まさに今、正念場を迎えているといえるでしょう。

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