2020年2月4日現在、成長著しいインドのネット通販市場で、政府と米国巨大テック企業の駆け引きが激しさを増しています。インド政府は、地場の中小零細小売業者を保護する目的で、外資系通販サイトへの監視の目を強めています。特に2019年2月に導入された、仕入れ先との「独占契約」を禁じる規制は、外資企業が得意とする圧倒的な資金力で商品を安く売る手法にブレーキをかける狙いがあります。
独占契約とは、特定のメーカーと契約し、自社サイトのみで商品を安く独占的に販売する仕組みのことです。これにより巨大資本は大量仕入れによる低価格攻勢が可能ですが、街の小さな小売店にとっては価格競争で太刀打ちできず、死活問題となるのです。この規制を巡り、SNS上でもインドの消費者の利便性と地場産業保護のどちらを優先すべきか、議論が活発に行われています。
ベゾス氏の巨額投資表明と政府の冷ややかな反応
2020年1月15日、インドを訪れた米アマゾン・ドット・コムのジェフ・ベゾス最高経営責任者(CEO)は、「21世紀はインドの世紀」と持ち上げ、2025年までに中小企業のデジタル化へ10億ドル、日本円にして約1100億円を投資すると発表しました。これは、中小業者を保護したいインド政府への強烈なアピールであることは間違いありません。
しかし、その翌日、インドのゴヤル商工相は驚くほど冷淡な対応を見せました。彼は、この投資を「インドのための貢献ではなく、自社の損失補填に過ぎない」と一蹴しました。さらに、その損失の原因は「市場シェアを奪うための無理な低価格戦略によるもの」と厳しく批判したのです。巨大外資に対し妥協を許さない、インド政府の並々ならぬ強い意志が感じられます。
深まる米印の対立と今後の展望
インドのネット通販市場は、2017年から2020年にかけて約3倍の1200億ドル規模へ成長が見込まれる魅力的な市場です。米国側は、インド市場が不公平であるという不満を募らせ、2019年6月にはインドに対する優遇措置であった一般特恵関税制度(GSP)の対象からインドを除外する決定を下しました。
一般特恵関税制度(GSP)とは、発展途上国からの輸入品に対して、関税を免除したり引き下げたりする制度のことです。これに対しインドも、米国産農産物への関税引き上げで対抗しており、両国のにらみ合いは終わる気配がありません。個人的には、過度な外資規制は短期的には地場産業を守るかもしれませんが、長期的には海外からの投資を遠ざけ、インド市場全体の発展を阻害する恐れもあるのではないかと危惧しています。
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