静岡県島田市に拠点を置く製茶機械のトップランナー、寺田製作所が、メンテナンス現場の常識を覆す画期的な取り組みを開始しました。2019年09月26日、同社は修理作業の効率化を目指し、メガネ型のウェアラブル端末、いわゆる「スマートグラス」を現場に導入することを発表したのです。この最先端デバイスを活用することで、遠く離れた本社の熟練技術者と現場の作業員をリアルタイムでつなぎ、これまでにないスピード感でトラブル解決に挑みます。
導入されたのは、シャープ傘下のダイナブック社が手掛ける「AR100」という高性能モデルです。これは「拡張現実(AR)」技術を応用した端末で、装着者の視界に直接デジタル情報を重ねて表示できる魔法のようなアイテムといえるでしょう。約500万画素のカメラとマイクが一体化しており、重さはわずか50グラムほどしかありません。長時間の作業でも負担が少なく、何より両手を自由に使えるため、複雑な機械修理に専念できる点が最大のメリットです。
熟練の技をデジタルで共有!「職人不足」を救う遠隔指示の力
製茶機械の世界は非常に奥が深く、20年から30年も現役で稼働し続けるカスタマイズ品が珍しくありません。すべての仕様を若手作業員が把握するのは至難の業ですが、本社のベテランが映像を見ながら音声で指示を送れば、まるで隣に師匠がいるような安心感で作業を進められます。SNS上でも「これぞ日本の製造業が生き残る道」「遠隔指導は地方の技術者不足を救う最適解だ」と、伝統技術とハイテクの融合を歓迎する声が数多く上がっています。
特に4月中旬から5月中旬にかけての一番茶シーズンは、農家にとって一分一秒を争う勝負の時です。この時期に機械が停止することは甚大な損失を意味しますが、スマートグラスがあれば現場で迷う時間を最小限に抑えられるでしょう。私は、こうしたITの活用こそが「職人技」をブラックボックス化させず、次世代へ確実に引き継ぐための架け橋になると確信しています。映像データはそのまま教材にもなるため、効率的な社員教育のツールとしても期待が高まります。
寺田製作所は2019年06月から、身近なコミュニケーションツールである「LINE」の活用もスタートさせています。顧客が故障箇所の写真を送ることで、訪問前に正確な状況把握ができるようになり、準備の無駄が大幅に削減されました。アナログな信頼関係を大切にしながらも、最新のデジタル技術を迷わず取り入れる同社の姿勢は、今後の日本の中小企業が目指すべき理想的なデジタルトランスフォーメーションの形を示しているのではないでしょうか。
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