日本の食卓に欠かせない水産大手、マルハニチロが2020年2月3日に発表した業績見通しが業界に波紋を広げています。2020年3月期の連結純利益が、当初予想の170億円から130億円へと大きく下方修正され、前期比で22%もの減益になる見込みとなりました。これまで成長路線を歩んできた同社にとって、まさに想定外のブレーキと言えるでしょう。
SNS上でもこのニュースは即座に拡散され、「マグロの養殖ってそんなに餌代がかかるのか」「家庭の食卓にも影響が出るのではないか」といった驚きの声が相次いでいます。普段何気なく口にしているお刺身の背景には、こうした市場原理が深く関わっていることを再認識させられます。
収益を圧迫する餌代の高騰と魚価の低迷
今回の減益要因として特に大きいのが、養殖マグロの生産コスト増加です。ここで言う養殖マグロとは、幼魚を捕獲して生け簀で育てる「蓄養(ちくよう)」の形態が中心となります。この際、マグロを大きくするための餌代が上昇し、利益を直接的に削る結果となりました。自然環境の変化や漁獲枠の制限が、結果として生産コストの高騰を招いているのです。
さらに、カツオが想定外の豊漁となったことも収益面に陰を落としています。一見すると豊漁は喜ばしいニュースに思えますが、市場に魚が溢れると相場価格が下落し、結果として売上高の減少につながるという経済のジレンマがあるからです。物流や加工事業が堅調に推移しているだけに、原料市況の波に左右される水産業界の難しさが浮き彫りになりました。
私個人としては、食の安全と安定供給を担う企業が、自然環境や市況という抗えない要因で経営判断を迫られる状況には危機感を抱かざるを得ません。安定した利益確保には、価格転嫁や高付加価値化といったさらなる戦略が求められる時代に突入したといえるのではないでしょうか。2019年4月から12月までの連結純利益が129億円と前年同期比25%減であった事実からも、経営の舵取りはより高度なものが求められそうです。
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