新潟県魚沼市。豪雪地帯としても知られるこの地に、縁もゆかりもない場所から移住し、今や地域の魅力を外へと伝えるキーパーソンとして活躍する女性がいます。彼女の名は島田久美子さん、38歳。島田さんは現在「魚沼暮らしコーディネーター」という肩書きで、移住を検討している人々と地域をつなぐ架け橋となっています。かつては首都圏で店長職を務めていた彼女が、なぜこれほどまでに魚沼に惹きつけられ、活動の場を見出したのでしょうか。
移住のリアルを伝える「結・魚沼」の仕掛け人
島田さんの活動は、魚沼市が運営する移住者向けポータルサイト「結・魚沼」の管理・運営が中心です。単なる情報掲載にとどまらず、実際に移住した先駆者や地域のキーマンへのインタビューを通じ、血の通った生の声を届け続けています。さらに、首都圏で開催される移住イベントでの体験談の登壇、お試し住宅利用者への生活サポートまで、移住希望者が抱える不安を解消する伴走者として、その役割は多岐にわたります。
SNS上では、こうした島田さんの親身な活動に対し、「移住相談というと堅苦しいイメージがあるけれど、島田さんのような方がいると相談しやすい」「単なる観光情報ではない、生活者目線の発信が信頼できる」といった声が寄せられています。特に、移住前後のギャップを埋めるような、現実的かつ温かいサポート体制が多くの移住検討者の背中を押しているようです。
かやぶき屋根が結んだ魚沼との運命的な出会い
島田さんが魚沼に移住したきっかけは、少し意外なものでした。首都圏での仕事の傍ら、自然と関わる生活を求めていた時期に、魚沼市が実施していた「かやぶき屋根の修復インターンシップ」を知ったのです。自身の出身も埼玉の山間部であり、かやぶき屋根には馴染みがありました。軽い気持ちで参加した1カ月の体験でしたが、そこで出会った風土や人々の温かさに魅了され、そのまま居住を延長。その後、「地域おこし協力隊」として3年間活動し、地域に深く根を下ろすこととなりました。
地域おこし協力隊とは、都市部から過疎地域などに移住し、地域ブランドの育成や農林水産業の支援など、地域活性化に取り組む活動のことです。まさに島田さんはこの制度を最大限に活用し、自らの居場所を切り拓いたのです。
「よこね米」と次世代へつなぐコミュニティづくり
2017年には任意団体「横根みずほの里」を設立し、地元の米を「よこね米」としてネット販売する事業も展開しています。特筆すべきは、東京の大学生を招いた交流の輪です。学生との交流からは、卒業生がロゴデザインを担当するといった新たな価値が生まれました。こうした「外からの視点」と「地域の誇り」が融合する形は、地方創生のひとつの成功モデルではないでしょうか。
今後、島田さんは地元企業が求める人材像をより具体的に発信し、ミスマッチのない移住マッチングを推進したいと考えています。さらに、自らの子育て経験を活かし、転勤族のママたちが孤立せず交流できる場づくりにも意欲を燃やしています。「移住」を一時的なイベントで終わらせず、「生活」として定着させるための彼女の挑戦は、これからも続いていくことでしょう。私自身も、こうした島田さんのような「個人の想い」を起点としたコミュニティ形成こそが、持続可能な地方の未来を作ると信じてやみません。
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