2020年2月4日の夜、ワシントンにてトランプ米大統領による一般教書演説が行われました。これは大統領が議会に対して、今後1年間の施政方針を伝える非常に重要な場です。今回の大統領就任後3回目となる演説のテーマは「偉大な米国の復活」と掲げられ、11月に控えた大統領選を強く意識した内容となりました。現在、上院では弾劾裁判が進行中であり、かつてないほど与野党の対立が深まる中での異例の登壇でしたが、トランプ氏は自身の経済政策の実績を誇らしげに語ることで、着実な公約達成を強くアピールしました。
演説の中で特に強調されたのは、就任以来700万人もの雇用を創出し、失業率を半世紀ぶりの低水準に抑え込んだという驚異的な経済成長です。トランプ氏はこれを労働者層のための「ブルーカラー好況」と呼び、歴史的な減税と規制緩和を断行した成果だと胸を張りました。規制緩和とは、企業が事業を行いやすくするために行政による介入や制限を減らすことであり、この政策が経済の活性化を後押ししたという主張です。この力強い経済アピールに対して、SNS上では支持者から「経済をこれほど回復させた大統領は他にはいない」といった称賛の声が上がる一方で、批判的な層からは「格差が拡大しているだけではないか」という鋭い指摘も飛び交っており、ネット社会でも議論が沸騰しています。
対立する民主党への強烈な牽制と、保守層へのメッセージ
トランプ氏は通商政策においても、中国との第1段階合意や北米自由貿易協定(NAFTA)の見直しを実現したことを挙げ、「過去の大統領とは違い、私は公約を守る」と自身のリーダーシップを際立たせました。また、医療や移民政策に関しては、民主党の左派候補が掲げる国民皆保険構想に対し、「社会主義に米国の医療を破壊させてはならない」と真っ向から反対を表明しました。国民皆保険とは、すべての国民を何らかの公的医療保険に加入させる仕組みのことですが、トランプ氏はこれを民間保険を廃止する危険な動きだと定義し、保守層の支持基盤を固めることに余念がありませんでした。
さらに、不法移民対策として進める「国境の壁」の建設についてもその成果を強調し、犯罪防止の重要性を訴えました。外交面では、過激派組織の指導者を殺害した実績を自らの強さの象徴として披露する一方、感染が拡大しつつある新型コロナウイルスについては、中国政府と連携して対処していると説明するに留まりました。大統領選の年は議会での法整備が困難になるため、今後はより大統領の権限が強い通商や外交に政策の軸足が置かれることでしょう。私自身、この演説を聞き、経済の数字を強調する戦略は非常に明快で、有権者の心に深く刺さるものだと感じましたが、分断を深める過激なレトリックが、今後の米社会にどのような影響をもたらすのか、非常に危惧する部分でもあります。
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