島根の老舗「けんちゃん漬」が世界へ!欧州で旋風を巻き起こす伝統の味と、さらなる飛躍への戦略

島根県出雲市で愛され続ける「けんちゃん漬」が、いま世界を舞台に大きな挑戦を始めようとしています。2020年2月5日の発表によると、同社は今春、本社工場の増設に踏み切ることを決定しました。これは単なる規模拡大ではありません。「古漬け」という伝統の味を再定義し、海外市場を切り拓くための重要な戦略なのです。

「古漬け」とは、野菜を長時間じっくりと漬け込み、発酵させることで深い旨みを引き出したものです。短時間で仕上げる「浅漬け」とは異なり、長期保存が可能で味わいも濃厚です。けんちゃん漬は、この古漬けの製造設備を新たに導入することで、生産能力を最大10パーセント向上させ、通年での安定した製品供給体制を整える構えです。

同社の大きなこだわりは、合成保存料や着色料を一切使用しないこと。地元の特産品である「津田かぶ」をはじめ、旬の野菜を使った手作りの漬物は、全国の高級スーパーや百貨店でも高く評価されています。売上の約半分が県外という実績が、その品質の高さを証明しているといえるでしょう。

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欧州を魅了する「漬物フレーク」の可能性

特に注目すべきは、2018年からフランスなどで展開している「出雲の漬物フレーク」の躍進です。これは熟成した古漬けを乾燥させ、塩と組み合わせた調味料のような製品。スプーン1さじ振りかけるだけで、いつもの料理に「和の旨み」を加えることができるとして、現地で大きな話題を呼んでいます。

SNS上でも「カルパッチョに漬物フレークをかける発想はなかった!」「日本のお漬物がフレンチを格上げするなんて驚き」といった声が寄せられ、食文化の垣根を越えた新しい和食の楽しみ方として支持されています。この成功を足がかりに、けんちゃん漬は今後、フランス以外の欧州全域への販路拡大を視野に入れています。

米本土へ広がる「浅漬け」の挑戦

一方で、主力製品である「浅漬け」の海外戦略も加速しています。2017年からハワイで販売を開始した浅漬けは、温度管理技術の向上によって保存料を使わずとも鮮度を保てるようになりました。この技術的裏付けを自信に、2020年1月中旬にはシアトルやサンフランシスコなど、アメリカ本土の日系スーパーへの営業を開始しています。

輸出には空輸を活用し、日本国内の鮮度をそのまま届けるという徹底ぶりです。価格は国内の約2倍となる1袋1000円前後を想定していますが、現地の需要は着実に伸びています。伝統的な製法を守りつつ、最新の流通技術で世界に挑むその姿勢は、地方企業のグローバル展開における非常に理想的なモデルではないでしょうか。

成相善美社長が掲げる「数年後に海外で年間500万から1000万円を売り上げる」という目標は、決して夢物語ではありません。国内の安定したファンを大切にしながら、世界へ「出雲の味」を届ける同社の取り組みから、これからも目が離せません。

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