京セラが、いよいよ商業用プリンター事業へ本格的に舵を切りました。2020年2月5日の発表によると、子会社の京セラドキュメントソリューションズが、これまで培ってきた複合機やプリンターの高度な技術を武器に、印刷会社をメインターゲットとした大型印刷機の販売を国内で開始します。成熟を迎えたオフィス機器市場という従来の枠組みを飛び越え、新たな成長領域を切り開こうとする同社の挑戦からは、未来への強い意志が感じられます。
今回発表された新製品「タスクアルファプロ15000c」は、非常に高い生産性を誇るインクジェット方式の機器です。インクジェット方式とは、微細なノズルからインクの液滴を直接用紙に噴射して印字する仕組みのことですが、この製品はオフィス向け複合機と同様にカットされた用紙を使用し、A4用紙であれば1分間に150枚という圧倒的なスピードで印刷可能です。独自開発の水性顔料インクによる鮮やかな発色と、この高い処理能力は、印刷業務の現場を大きく変えるポテンシャルを秘めています。
競合ひしめく市場への挑戦と勝算
気になる価格は、標準仕様で税別2460万円を想定しています。2019年末より欧米ですでに一部販売が開始されており、印刷会社はもちろん、大企業内の集中印刷室など幅広いニーズを狙い撃ちする戦略です。SNSでも「京セラが商業印刷に殴り込み」「この速度でこの価格設定は面白い」といった期待の声が上がり、プロフェッショナルな現場からの関心の高さが伺えます。ビジネスにおいて重要なのは、単なるスペックの高さ以上に、現場の業務フローにどれだけ適応できるかです。
確かに、この分野には富士ゼロックスやリコー、キヤノンといった強力な競合他社が存在します。しかし、京セラはあえて既存の大型ロール紙を使うタイプとは一線を画し、独自の位置づけで差別化を図る方針です。特定の用途に特化し、既存製品とは異なる価値を提供しようとするこの姿勢は、非常に賢明な戦略だといえるでしょう。デジタルとアナログが融合する現代の印刷現場において、京セラの新機軸がどのような化学反応を起こすのか、今後も目が離せません。
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