2020年2月5日、日本HPは都内にて事業説明会を開催し、今後の注力領域を明らかにしました。同社の岡隆史社長は、ペーパーレス化が進む現代において個人やオフィス向けのプリンター市場が縮小傾向にあることを踏まえ、今後は「商業印刷のデジタル化」および「3Dプリンター」の分野へ資源を集中させていく方針を強調しています。単なる紙への印刷にとどまらない、戦略的な転換点といえるでしょう。
デジタル印刷とは、デジタルデータを直接出力する技術のことで、従来のオフセット印刷のように版を作る必要がないため、多品種少量生産や短納期に非常に適しています。今回紹介された事例には、食品を運ぶ段ボールに生産者一人ひとりの熱い想いを込めたメッセージを印字する取り組みがありました。これは単なる包装ではなく、受け取る側へ感情を伝える「付加価値」の創造といえます。
製造現場を変える3Dプリンターの可能性
また、同社は3Dプリンター分野での製造業への浸透を加速させようとしています。3Dプリンターとは、デジタルデータから立体的な造形物を作り出す装置のことです。量産に適した大型機から試作向けの小型機までラインアップを拡充し、実際に部品の製造受託を手がけるパートナー企業と連携しながら導入のトライアルを増やしていく計画です。
ただ、この技術が製造現場で真に普及するためには、技術的な移行コストだけでなく、経営層の意識改革という「心理的な壁」を取り払う必要があると幹部は指摘しています。これは、新しい技術を導入する際に多くの日本企業が直面する課題かもしれません。新しいものを取り入れることへの慎重さを、いかに未来への投資へと変えていくかが成功の鍵となるはずです。
SNS上でも今回の発表に対し、「印刷の概念が変わる」「製造現場のあり方が根本から問われている」といった驚きの声が上がっています。特に、紙以外の素材へ印刷する技術の強化には注目が集まっており、ファッション業界やスポーツウエアへの展開は、今後のパーソナライズ化された商品需要を捉える強力な武器になるでしょう。
一方で、同社のパソコン事業にも触れておかなければなりません。日本HPは2019年にブランドとして国内PCシェア第1位を獲得するという快挙を成し遂げています。堅調な収益源があるからこそ、こうした印刷や3Dプリンターといった新たな領域への大胆な挑戦が可能になっているのでしょう。安定した既存事業と、挑戦的な新規事業のバランス感覚は、まさに企業の理想的な姿と言えます。
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