IoT投資で明暗?日本が直面する「DXの壁」と米欧が仕掛けるサブスク型の事業革命

2019年12月28日現在、あらゆるモノをインターネットで繋ぐ「IoT」の活用を巡り、日本と欧米諸国の間で決定的な「温度差」が生じています。アメリカやヨーロッパの企業は、IoTを単なる便利ツールではなく、既存のビジネスの仕組みを根本から覆す強力な武器として位置づけているのが特徴です。

例えば、機器にセンサーを搭載して消費者の細かな動向をリアルタイムで分析したり、製品を売って終わるのではなく、利用した分だけ料金を支払う「従量課金」という新しいスタイルを生み出したりしています。こうした動きは、まさにデジタル技術によって産業構造を変革する「DX(デジタルトランスフォーメーション)」の象徴と言えるでしょう。

一方、日本国内に目を向けると、IoTの用途は依然として製造現場の「カイゼン」といった効率化の枠内に留まっているケースが散見されます。このまま活用方法に差が開けば、国際的な競争力を大きく損なう恐れがあると、各方面から危惧する声が上がっています。

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家庭でバー体験!データを握る米国の戦略

具体的な成功事例として注目したいのが、2019年9月24日にアメリカで発売された家庭用カクテルマシンです。飲料大手のキューリグ・ドクター・ペッパーなどが手掛けたこの機械は、専用の容器をセットするだけで本格的な一杯を楽しめるだけでなく、スマートフォンと連動するスマート家電としての側面を持っています。

メーカー側は、どの家庭でいつ、どんな種類のお酒が飲まれたかという貴重なデータを瞬時に把握できます。これにより、消費者の好みに合わせた精度の高いマーケティングや、無駄のない生産計画の立案が可能になりました。SNSでは「自宅での楽しみ方が変わる」と期待の声が上がる一方で、データ収集による利便性の向上に驚く反応も目立ちます。

モノ売りから「サービス売り」へ転換する欧州

ヨーロッパでも、ビジネスモデルの劇的な転換が進んでいます。ドイツの圧縮機メーカーは、機械本体を販売するのではなく、使用した空気の量に応じて課金する「エア・アズ・ア・サービス(AaaS)」という革新的なモデルを打ち出しました。

ここで使われている「〇〇・アズ・ア・サービス(サービスとしての〇〇)」とは、所有ではなく機能を利用することに価値を置く考え方です。顧客にとっては、高額な初期費用を抑えられるだけでなく、メンテナンスや故障のリスクをメーカーに任せられるという大きな利点があります。

日本企業に求められる「経営層の覚悟」

統計データによれば、2019年のアメリカにおけるIoT支出額は約1981億ドル(約22兆円)に達し、日本(約655億ドル)の3倍近い規模を誇ります。日本企業の約8割が「欧米に遅れている」と自認している現状は、非常に深刻であると私は考えます。

日本のDXが進まない背景には、IT戦略を現場任せにしてしまう経営層の姿勢があるのではないでしょうか。IoTは単なる技術の導入ではなく、会社が「何を成し遂げたいか」というビジョンの具現化です。今こそ、従来の成功体験を捨て、デジタル時代に即した大胆な投資と意識改革を行うべき時が来ています。

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