【大学研究のパラダイムシフト】「研究拠点」が論文シェア4分の1を占める時代。農工大の「光融合科学」に見る文理融合の重要性

2019年5月29日付のコラムは、日本の大学研究のあり方が、今、大きな変革期を迎えていることを示しました。国内外のオープンイノベーションの潮流を受け、2000年代以降、文部科学省のプログラムによって特定の目的を持った**「研究拠点」の創設が、多くの大学で後押しされてきました。研究拠点の明確な定義はないものの、従来の研究分野や組織の枠を超えた活動が条件であり、高水準の成果を生み出すための研究者間の交流の場**として、その重要性が増しています。

大学にとって、研究拠点の形成は極めて重要な戦略となっています。大規模な公的研究資金の獲得競争が激化する中で、**WPI(世界トップレベル研究拠点プログラム)のような事業に採択されることは、その大学が「研究型大学」であることの証となるからです。科学技術・学術政策研究所が2017年に発表した調査結果によると、規模の大きな大学グループでは、研究拠点の論文数が全体の24.6%**という高いシェアを占めており、特に海外研究者との共著論文や産学連携論文で顕著な傾向が見られました。

コラム筆者である東京農工大学の伊藤伸教授(当時)が所属する大学でも、光融合科学を基盤とした新たな研究拠点が創設されました。ここでは、三沢和彦教授の研究成果を実用化した**「コヒーレントラマン顕微鏡」**という特殊なレーザー顕微鏡が活用され、生体中の低分子の分布を画像化できるため、がん診断やワクチン開発、生活習慣病の予兆発見など、広範な応用が見込まれていました。

SNS上では当時、「研究は縦割りの弊害が大きい」「文理融合こそイノベーションの鍵だ」といった、研究拠点への期待と課題を指摘する声が上がっていました。特にこの研究拠点の特徴は、一橋大学が、こうした技術の国際標準化のための研究機関として参加している点です。三沢教授は、「社会科学的研究との革新的な協働は、過去の自然科学系のプロジェクトでは見られない新規性と優位性を持つ」と語っています。

コラムニストとしての私の意見ですが、この**「融合知の基盤形成」こそが、大学研究拠点の真の本質です。複雑化する現代の社会課題は、一つの専門分野だけでは解決できません。自然科学系の研究開発に、国際標準化や社会実装といった社会科学の知見を組み込むという、この文理融合の挑戦こそが、日本の大学が世界に誇れるイノベーションを生み出し、未来の社会実装、すなわちSociety 5.0**の実現を先導するための、重要な鍵となるでしょう。

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