2019年5月29日付の報道は、国内医薬品市場の構造的な変化を象徴する、興味深いデータを伝えました。米医薬品サービス・調査会社のIQVIAが公表した2018年度の国内医薬品売り上げデータ(薬価ベース)によると、市場全体は10兆3,293億円となり、前年度を1.8%下回る結果となりました。これは、薬価の改定が影響したもので、市場が成長から抑制へと舵を切っている現実を示唆しています。
この厳しい市場環境の中で、中外製薬の抗腫瘍薬**「アバスチン」が、2年度連続で売上高首位の座を維持し、その売上は1,183億円に達しました。アバスチンは、特定の進行性のがん治療に用いられる抗腫瘍薬**で、その治療効果と実績が市場で高く評価されていることを示しています。SNS上では当時、「アバスチンは相変わらず強い」「がん治療薬のシェア争いは熾烈だ」といった、市場の力学に関する意見が寄せられていました。
また、市場の変動を象徴するように、順位の変動も激しいものでした。前年度は2位だった小野薬品工業のがん免疫薬**「オプジーボ」が3位に後退。代わりに、2017年11月発売の米アッヴィのC型肝炎薬「マヴィレット」**が2位に躍り出ました。さらに、前年度7位だったMSDの糖尿病薬「ジャヌビア」や、武田薬品工業の高血圧薬「アジルバ」といった、生活習慣病関連の主力薬がトップ10圏外となるなど、薬価改定の影響が特定の領域に強く現れた形です。
コラムニストとしての私の意見ですが、このIQVIAのデータは、日本の医薬品市場が**「薬価改定」という強力な政策誘導によって、高額な生活習慣病治療薬から、がんやC型肝炎といったアンメット・メディカル・ニーズ**(いまだに治療法が確立されていない疾患)を満たす領域へとシフトしている現実を示しています。市場全体がマイナス成長となる中で、企業が成長を維持するためには、アバスチンのように、真に患者の生命に関わる**「イノベーション(革新)」**を提供し続けることが、絶対的な条件となってくるでしょう。
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