2019年5月29日付の報道は、本州と北海道を結ぶ海運大手、新日本海フェリー(大阪市)が、北海道倶知安(くっちゃん)町に高級宿泊施設を開業するという、異業種参入のニュースを伝えました。倶知安町は、世界的に有名なスキーリゾートであるニセコ地区に含まれており、長期滞在を目的とする富裕層をターゲットに、新たなリゾート市場を開拓する狙いが明らかになりました。
この高級温泉宿は、フェリーが寄港する小樽市からもアクセスしやすい立地に建設されます。施設は木造平屋建てで、18ある客室すべてに源泉かけ流しの露天風呂を設置するという、徹底した高級路線を貫いています。さらに、敷地内にはフィットネスジムやエステ施設なども備え、国内外の富裕層が求める、質の高い滞在体験を提供することを目指します。
施設の運営は、グループ会社でオーセントホテル小樽を運営するオーセントホテルズが担います。同社は、フェリーやクルーズ船の運航を通じて長年培ってきた、きめ細やかな接客のノウハウを宿泊施設の運営にも生かす考えです。SNS上では当時、「フェリー会社がホテルとは面白い」「ニセコの需要に日本の温泉が加わるのは強い」といった、ビジネスの多角化とニセコ市場への参入を歓迎する声が上がっていました。
コラムニストとしての私の意見ですが、この新日本海フェリーの決断は、単なる不動産投資ではありません。これは、「モビリティ(移動手段)」と「滞在(リゾート)」という観光の二大要素を融合させ、事業のシナジー(相乗効果)を最大化しようという、極めて戦略的な一手です。フェリーを利用する顧客をそのまま高級宿へと誘導できる可能性も生まれるでしょう。ニセコというグローバルな富裕層市場において、日本のホスピタリティと高品質な温泉という魅力を武器に、どこまで存在感を示せるか。今後の成長に期待したいものです。
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