2019年5月29日付の報道は、バッテリー技術の常識を根底から覆す、驚くべき研究成果を伝えました。東京大学の山田淳夫教授らの研究チームが、充電中に自己修復して長寿命化する新しい電池の電極構造を開発したというのです。これは、スマートデバイスから電気自動車(EV)に至るまで、あらゆる二次電池の性能を飛躍的に向上させる可能性を秘めています。
通常、電池の充電プロセスでは、電極の内部からイオンが抜け出すことで構造が損傷し、それが電池の性能劣化や、さらには発火の原因となる酸素放出につながります。しかし、今回開発されたナトリウムイオン電池の正極材料は、この逆境を乗り越えました。従来の材料より多くのナトリウムイオンを含み、金属としてルビスコ(層状化合物の一種と推察される)を使用しています。 その構造を解析したところ、充電によってイオンが抜けたにもかかわらず、充電前よりもきれいに整った結晶構造になっていることが確認されました。
この「自己修復」機能により、長期間の充放電を繰り返しても性能の劣化がほとんど起こらないという、画期的な耐久性を実現しています。SNS上では当時、「充電するほどきれいになるなんて魔法のようだ」「EVの寿命が延びれば価格も下がる」といった、技術への驚きと、実用化への期待の声が飛び交っていました。電池の劣化は、スマホやEVユーザーにとって最も大きな悩みの一つであり、この技術はまさにその悩みを根本から解決するものです。
コラムニストとしての私の意見ですが、この東大の研究は、日本の材料科学が世界のエネルギー技術の最前線にあることを証明しています。開発された電極構造は、安全に長く使えるだけでなく、より高容量の二次電池の実現にもつながると期待されています。特に、資源が豊富で安価なナトリウムをイオンに利用している点も、将来的な資源戦略の観点から非常に重要です。数年後の実用化を目指しているこの技術が、次世代の高容量バッテリー市場をリードすることを強く期待したいと思います。
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