近年、毎年のように日本列島を襲う深刻な豪雨災害。その猛威を前に、私たちは今、避難のあり方を根本から見直す局面に立たされています。こうした状況下で、防災機器の製造販売を手掛ける「トライリンクス」の画期的な製品が、今まさに大きな注目を集めているのをご存知でしょうか。
同社が開発した電動式階段昇降機「UD-チェア」は、高齢者や身体の不自由な方の命を守る救世主として期待されています。従来の車いすとは異なり、介助者が後ろから押して操作する仕組みですが、最大の特徴は電動アシスト機能と背面に搭載された特殊なベルトにあります。
この機構により、車体を傾けるだけで階段をスムーズに移動できるようになりました。さらに、座っている方の目線が上を向くようハンドルの位置を高く設計するなど、安心感への配慮も万全です。専門用語である「UD」とは、誰もが使いやすい「ユニバーサルデザイン」を意味しています。
SNS上でも「これなら力のない人でも階段を上れる」「駅やマンションに絶対配備してほしい」といった、実用性を絶賛する声が多数寄せられていました。2020年3月には、つくばエクスプレス(TX)の全20駅でこのUD-チェアが導入される見通しとなっております。
水害から命を守る「下から上へ」の垂直避難という新常識
これまでの緊急避難といえば、高い場所から地上へ降りるケースが一般的でした。しかし、2019年10月12日に上陸した台風19号による大雨は、浸水や停電によって車いす利用者が孤立するという、極めて深刻な課題を浮き彫りにしたのです。
激しい水害が発生した際には、下の階から上の階へと移動する「垂直避難」が不可欠となります。これについて同社の清野幸夫社長は、関心のある人以外にはこうした階段昇降機の存在自体がまだ広く知られていないという、認知度の低さを大きな課題として挙げておられます。
本体価格は65万円ですが、災害時の命綱としての価値は計り知れません。実際に台風19号で浸水した川崎市武蔵小杉のタワーマンションからは、停電の翌日に注文が入り、即座に納入された実績もあります。企業や自治体の防災意識は、今や確実に変化していると言えるでしょう。
私は、こうした優れた防災テクノロジーが1日も早く社会の標準装備になることを切に願います。ハード面の整備はもちろんですが、私たち一人ひとりがこのような救助ツールの存在を知り、災害時に助け合える知識を持つことこそが、本当の防災先進国への第一歩ではないでしょうか。
鉄道インフラの進化とバリアフリーな防災への取り組み
トライリンクスの挑戦はこれだけに留まりません。万が一、電車が駅と駅の間で立ち往生してしまった事態を想定し、車いすのまま線路の上を走って最寄り駅まで避難できる専用の「トロッコ」も同時に開発しました。この新兵器も、UD-チェアと共にTXへ配備される予定です。
運行を担う首都圏新都市鉄道の担当者も、近年の自然災害による停電リスクを懸念しており、どんな状況でも移動が困難な方をサポートする体制が必要だったと、導入の背景を語っています。公共交通機関が率先してこうした先進的な動きを見せる意義は非常に大きいと感じます。
同社は前年比1.5倍の需要を見込んで生産体制を強化し、さらなる普及啓発活動に全力を注ぐ方針です。誰もが取り残されないセーフティネットの構築に向けて、この革新的な車いすが全国の駅舎や高層ビルへ広がっていく未来を、私たちは温かく、そして強く後押ししていくべきです。
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