日用品大手のライオンが2020年2月13日に発表した2019年12月期の連結決算は、私たちの生活に身近なブランドの現状を浮き彫りにしました。発表によると、最終的な企業の稼ぎを示す純利益は前の期と比べて20%減少し、205億円となった模様です。この減少には、前年に土地を売却して得た一時的な利益の反動という側面もありますが、それ以上に東アジアの情勢が影を落としています。
減益の大きな要因となったのは、韓国国内で激化した日本製品に対する不買運動です。ライオンが強みを持つ洗濯用洗剤やハンドソープといった生活必需品が現地で敬遠され、売上高は前の期から1%減の3475億円にとどまりました。SNS上では「毎日使うものだからこそ政治的な影響を受けてほしくない」「ライオンの製品は優秀なのに残念だ」といった、消費者の悲痛な声が数多く飛び交っています。
しかし、同社はただ苦境に立たされているわけではありません。本業の儲けをダイレクトに表す「事業利益(売上から原材料費や人件費などを引いた本業の成果)」は、なんと6%増の300億円を達成しました。原油から作られるプラスチックの基になる「ナフサ」の価格が下がったことや、インターネット広告を巧みに活用して無駄な販売促進費を削った企業努力が実を結んだ形です。
アジア市場への攻勢とこれからの展望
同社が同時に公表した2020年12月期の業績予想からは、未来への強い決意が感じられます。売上高は前期比2%増の3550億円、事業利益は2%増の305億円を見込んでいるそうです。今後は中国で需要が高まる歯ブラシなどのオーラルケア(口腔衛生)製品に注力するほか、タイやマレーシアでも販売を拡大していく戦略を掲げています。
今回の決算を見て、私はライオンの底力を強く実感しました。不買運動という予測不能な外部リスクに直面しながらも、本業の収益性を高める構造改革に成功している点は見事というほかありません。現在は世界を揺るがしている新型肺炎(新型コロナウイルス)の影響が業績予想に織り込まれていないため、今後の動向には注視が必要ですが、アジアでの新たな挑戦を応援したいところです。
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