2019年6月28日に開幕した「G20大阪サミット」(主要20カ国・地域首脳会議)は、大阪の街に厳戒態勢を敷き、国内外の観光客に大きな波紋を広げています。サミット開催に伴い、大阪市内では人気の観光スポットが相次いで臨時休業や立ち入り規制を実施。これにより、多くの訪日外国人観光客が困惑し、楽しみにしていた旅程の変更を余儀なくされている状況です。
例えば、テロ警戒などのため6月27日から28日まで臨時休館となった大阪城天守閣や、警備強化のため28日午前9時から本丸エリアなどへの立ち入りが禁止された大阪城公園(大阪市中央区)では、「え、入れないんですか?」と落胆する観光客が後を絶ちません。28日午前、大阪城公園の立ち入り禁止を知った香港からの修学旅行生を案内していた添乗員も「G20は知っていたが、ここまで規制が厳しいとは思わなかった」と驚きを隠せない様子でした。景色を楽しみにしていたという米国の観光客も「G20でこんなに観光に影響が出ているとは思わなかった。早く来ておけばよかった」と悔やんでいるといいます。
また、大阪市内の眺望スポットとして名高い梅田スカイビル空中庭園展望台も30日まで休業となり、初めて来日したスペインからの夫婦は「大阪城にも行ったが入れず、ここもダメで残念」と、急遽予定を変更し道頓堀での食べ歩きを楽しむことにしたそうです。このように、憧れの観光地に入れない「観光難民」が生まれている現状は、安全確保の重要性を理解しつつも、インバウンド誘致に取り組む大阪にとって、大きな課題が浮き彫りになったと言えるでしょう。
観光客の受け皿に!営業を続ける施設に「人の波」
一方で、サミット期間中も営業を続けている施設には、外国人観光客が集中し、普段以上の賑わいを見せています。例えば、休業中の大阪城天守閣に近い大阪歴史博物館(大阪市中央区)では、普段は4割程度の外国人入場者の割合が、27日には6割を占めました。担当者は、休業中の大阪城からの観光客が流れてきたのではないかと推測しています。
さらに、大阪市港区の海遊館では、訪日客らが入場の列をつくる光景が見られました。イタリアからの観光客は「インターネットで営業中のスポットを探した。もし閉まっていたらホテルに籠もるところだった」と語っており、営業情報が観光客の行動に直結していることが分かります。また、大阪・新世界のシンボル通天閣では、G20参加国・地域からの観光客に対し、パスポート提示で展望台への入場料を割引するキャンペーンを実施し、積極的に訪日客を取り込もうとしています。このキャンペーンにより、通常4分の1ほどの外国人入場者が、27日には半分程度を占める結果となりました。
休業による落胆の声がある一方、営業中の施設は「観光難民」の受け皿となり、特に通天閣のように工夫を凝らした集客策は、大阪の魅力を伝える上で大変有効でしょう。しかし、入場者数自体は交通規制の影響で普段の3分の2に留まっており、交通規制も観光に大きな影響を与えていることが窺えます。
情報周知の課題と今後の教訓
大阪観光局は、6月上旬からホームページでG20期間中の観光施設の休業情報を英語、中国語、韓国語など6言語で発信し、SNS(交流サイト)でも周知に努めてきました。しかし、現場では休業を知らずに訪れる観光客が多数見受けられ、広報担当者も「情報が十分に届いていない面はある」と認めています。
この事態に対するSNS上での反響は、「事前に調べておくべき」「国策だから仕方ない」といった理解を示す声もありますが、「もっと分かりやすく、広範囲に周知すべきだった」「観光客への配慮が足りない」といった批判的な意見も散見されます。特に、旅行プランを立てる際に休業情報を把握できなかったという声は多く、情報提供のタイミングや手段について、再考の余地があると言えるでしょう。
2025年の国際博覧会(大阪・関西万博)や9月開幕のラグビーワールドカップ日本大会など、今後も大阪への訪日客増加が見込まれます。今回のG20期間中に浮き彫りになった情報周知の不徹底や、急な規制への対応といった課題を精査し、今後の大型イベントに向けて万全の対策を講じる必要がありそうです。今回の経験は、**「観光と大規模イベントの両立」**という難題に取り組む上で、貴重な教訓となることでしょう。
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