☕時代に合わせた「お寺の変革」最前線!カフェ・ビアガーデンでファンを開拓する新しいお寺の姿とは?

近年、「寺離れ」という言葉がささやかれる中、全国のお寺がその伝統的なイメージから脱却し、現代社会に合わせた新しい姿を模索し始めているという驚きのニュースが届いています。これまでの堅いイメージを覆すカフェやビアガーデン、さらには都心のビルに設けられた分院など、お寺が私たちの生活に身近な存在となるための革新的な取り組みが進められているのです。これは、変化する環境に対応できなければ、衰退に向かってしまうという危機感がお寺側にあるからこそでしょう。時代に合わせて柔軟に変わっていくお寺の取り組みは、多くの人々の関心を集めています。

その象徴的な事例の一つが、東京都中央区に位置する築地本願寺です。国の重要文化財に指定されている壮麗な本堂の隣で、朝8時から営業しているカフェ「Tsumugi」は、連日大盛況で多くの人々を魅了しています。特に話題となっているのが、ご本尊である阿弥陀仏の「第18願」という教えにちなんだ「18品の朝ごはん」(税抜き1,800円)です。お盆の上に所狭しと並ぶおかゆや里芋の田楽、豆腐のゆずあんかけなど、彩り豊かなメニューは1日110食限定で、毎朝整理券が配られるほどの人気を集めているようですね。このカフェには、ママ友らしきグループや出勤前のビジネスパーソンなど、幅広い層が訪れています。

さらに、カフェは午後9時まで営業し、夕方からはアルコール類も提供されているため、月に約1万人もの人々が来店し、これまでお寺と縁がなかった層との貴重な接点となっています。福岡市から訪れたという54歳の女性も、「カフェがきっかけで、ずっと気になっていた本堂に入ることができた」と語っていたのが印象的です。このカフェ併設は、2017年の創建400年を機に始まった、お寺を開放し気軽に立ち寄れる場所とする改革の一環なのです。築地本願寺では、他にも僧侶が悩みを聞く「よろず僧談」や、生前整理といった終活(人生の終わりに向けての準備活動)を支援する「終活サポート」までをワンストップで提供する会員制度も整備し、「信仰心のある身近なファン」を増やそうと力を入れているのです。

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仏像に囲まれ「飲みニケーション」!お寺の多様なアプローチ

「寺離れ」を解消しようと、「飲みニケーション」(酒を飲みながらコミュニケーションを図ること)の場を提供し始めたお寺もあります。東京の目黒にある天恩山五百羅漢寺は、2017年から境内で夏のビアガーデンを始め、今年も7月から8月にかけて計5日間開催されます。都の重要文化財に指定された146体の仏像が中庭を取り囲む、この非日常的な空間で、近隣企業の打ち上げなどで予約が埋まるほどの人気ぶりです。佐山拓郎住職は、「お寺に入る敷居を下げたい。そして、仏像の持つ魅力にも触れてもらいたい」と、その狙いを語っています。この斬新な試みは、SNSでも「行ってみたい」「仏様の前でビールなんて贅沢」といった反響を呼んでおり、話題性も抜群といえるでしょう。

また、都市化の進行や価値観の変化に伴い、お寺が遠い存在になってしまっているという現状は、さまざまな調査でも裏付けられています。例えば、2017年に全日本仏教会と大和証券が公表した調査では、仏教信者ではない人の約4割が、都心でも地方でも「住職と会話の機会がない」と回答しています。信者の方でも2割から3割が同じ状況にあるというのですから、事態は深刻といえるでしょう。この状況を打開するため、地方から都心への“出張”という形で新たな接点を作っているお寺もあります。

奈良市の十輪院は、2014年に地元の商店街に続き、東京の神保町という大通り沿いのビル2階に分院「みんなのお寺」を開設しました。賃料相場が安くない場所にも関わらず、人通りの多さを重視してこの立地を選んだのは、本院のブランドイメージを向上させる効果も期待できるからだと橋本純信住職は考えているようです。「みんなのお寺」では、本院から僧侶8人が交代で出張し、障子で仕切られた半個室の空間で、人間関係や仕事の悩みなどの「人生相談」を無料で行っています。写経や先祖供養の相談は有料ですが、相談者の約半数以上が30代から40代の働き盛り世代で、月に延べ約100人が門をくぐる人気となっているのです。住職は、「一方的に『ああしなさい』とは言わず、ひたすら話を聞く」姿勢を大切にしており、訪れた人が自ら問題解決の糸口を見つけられるよう促しているということです。

「寺院消滅」の危機を乗り越える!お寺の新しい「ファン」作り

このように、お寺が新たな取り組みに邁進する背景には、厳しい経営状況があると考えられます。文化庁の宗教統計調査によれば、2017年12月末時点で、全国の寺院数は7万7003カ所と、同時期のコンビニエンスストア(5万5322店)よりも多い状況です。しかし、2008年12月末と比べると微減に留まっているとはいえ、その経営は決して楽ではないようです。浄土真宗本願寺派が2015年に約1万寺を対象に行った調査では、年収300万円未満の寺院が45%にも上っているというのです。この結果は、多くのお寺が経済的に苦しい状況にあることを示唆しています。

僧侶で『寺院消滅』の著書もある鵜飼秀徳さんは、「経営が厳しくても解散が進まないのは、清算の手続きが煩雑であることや、伽藍(がらん:お寺の建物全体)や無縁墓(むえんぼ:継承者がいなくなったお墓)の処理といった解体費用を負担できないお寺が多いからでしょう」と指摘しています。さらに、住職不在などの理由で宗教活動を停止している寺院も、全国で2000カ所以上あるとみられています。このような状況下で、お寺が存続し、活動を続けていくためには、経済的な基盤だけでなく、活動を支えてくれる「ファン」の存在が不可欠といえるでしょう。築地本願寺の安永宗務長が語るように、「人が集まるお寺にするにはどうすればよいか」という問いへの答えを探すため、お寺の新たな試みは今後もますます広がっていくことでしょう。

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