【J-REITの未来】ガバナンス改革が鍵!市場拡大へ向けた構造的課題を徹底解説

投資、資産運用、金融リテラシー

2019年7月2日時点、日本の不動産投資信託、通称J-REIT(ジェイ・リート)市場は、約14兆円という規模にまで成長し、活況を呈しています。しかし、この拡大の裏側には、市場のさらなる発展を阻害しかねない構造的な「ひずみ」が存在するという指摘も聞かれます。世界最大級の資産運用会社であるブラックストーン・グループの日本代表、橘田大輔氏に、今後のJ-REIT市場が発展を継続するためのカギについて、詳しくお話を伺いました。

橘田氏は、日本の経済力を鑑みれば、J-REIT市場は「もっと大きくなれたのではないか」と評価しつつ、その最も大きな課題として、REIT運営を巡る「ガバナンス(企業統治)」の仕組みを挙げていらっしゃいます。J-REITが物件を購入する際の売却元となる「スポンサー企業」と、REITの運営を担う「運用会社」が関連会社という関係にあるケースが多く見られますが、この構造が問題の根源にあるというのです。

具体的には、REITの運用者が、そのREITの投資主(株式における株主に相当する投資家)ではなく、親会社であるスポンサー企業の都合を優先していないか、という疑念が生じやすいと指摘されています。橘田氏は、このままの仕組みで良いのか、今こそ考え直す時期に来ているとの強い見解を示されました。投資主の利益を第一に考える「受託者責任」の透明性を高め、価値最大化に向けた体制を構築することが、市場の信頼性向上のために不可欠でしょう。

また、個別の銘柄が持つ規模や銘柄数の適正さについても疑問が呈されています。例えば、企業の資産効率を示す指標である「NAV倍率」(不動産投資法人の株価純資産倍率に相当)が一度も1倍を超えたことのない銘柄や、上場以来、新規物件の取得にほとんど動いていないREITも散見されるそうです。これらは市場の健全な発展を妨げる要因となりかねず、適切な再編が必要であると考えられます。

しかし、こうした再編が、事実上の親会社(スポンサー企業)の都合によって拒まれているのではないかという懸念も示されています。さらに、REITを巡る法律や税務処理において、再編を前提とした規定が不十分なため、あいまいな部分が多く残っていることも、迅速な市場再編を難しくしている一因でしょう。これらの構造的な問題が、市場の「ひずみ」として表面化していると言えます。

こうした日本のJ-REIT市場の現状は、海外投資家の目にも割安に映っているようです。世界的に不動産投資に注目が集まる中、海外の投資家からは「日本のREITはなぜここまで割安なのか」という問いを多く受けるとのことです。しかし、ガバナンスに関する構造問題を説明すると、彼らは投資を控えてしまうという現状があるそうです。これは、市場の透明性や健全性に対する懸念が、国際的な資金流入の妨げになっていることを示唆しています。

SNSなどでも、「日本のREITはスポンサー重視で、投資家目線が足りないのでは」「運用会社の独立性が重要」といった意見や、低迷するNAV倍率を疑問視する声が見受けられます。この反響は、投資家がガバナンスのあり方に高い関心を寄せていることの表れでしょう。

私見として、J-REIT市場が真の意味で国際的な地位を確立し、さらなる拡大を遂げるためには、ガバナンスの透明性向上は避けて通れない課題だと考えます。上場企業と同様に、投資主に対する「受託者責任」を果たす体制を明確にし、企業価値(この場合はREITの価値)の最大化を目指す仕組みを確立することが急務です。この構造的な課題を乗り越えれば、日本のJ-REIT市場は、今後も大きく成長する余地を十分に秘めていると言えるでしょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました