創業50周年のテンアライドが挑む「天狗」の革新!セントラルキッチン外販とアジア進出で描く次世代居酒屋の勝ち筋とは

「テング酒場」や「和食れすとらん天狗」といったブランドで親しまれているテンアライド株式会社が、2019年07月03日、ついに創業50周年という大きな節目を迎えました。1986年には居酒屋業界で先駆けて上場を果たすなど、移り変わりの激しい飲食業界において、半世紀もの間「天狗」の看板を守り続けてきた功績は非常に大きいと言えるでしょう。

しかし、直近の業績に目を向けると、2期連続の減収という厳しい現実に直面しています。インターネット上のSNSでは「昔からの安心感がある」という根強いファンの声がある一方で、「新しい居酒屋チェーンに押されているのでは」という懸念も散見されます。こうした岐路に立つ今、飯田永太社長は次の50年に向けた逆転のシナリオを明確に描き出しています。

1969年に東京・西池袋で産声を上げた1号店は、白木の内装に赤ちょうちんが揺れる伝統的なスタイルでした。大きな転機となったのは、創業者が同じビルの上層階にオープンした欧風居酒屋です。お洒落にワインやスコッチを楽しむ場所として設計されましたが、意外にも来店客からは「下の天狗のメニューを食べたい」というリクエストが続出しました。

このニーズに応えたことが、和食と洋食を融合させた独自の「和洋折衷スタイル」を確立するきっかけとなりました。結果として、男性客中心だった居酒屋に女性やファミリー層を呼び込むことに成功したのです。顧客の声を柔軟に取り入れる姿勢こそが、半世紀続くブランド力の源泉であると私は確信しており、これこそが同社の真の強みではないでしょうか。

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名物「肉豆腐」の進化と外販事業への本格参入

現在の居酒屋業界は、参入障壁が低いため常に激しい価格競争にさらされています。業績が低迷すると、安易にアルコールの値下げに走る企業も少なくありませんが、飯田社長は「勝ち続けるための奇手や妙手はない」と断言します。提供スピードの向上や接客の質を磨くという、飲食業の原点に立ち返る地道な努力が、既存店の回復を支えているのです。

特筆すべきは、2018年から本格始動している「外販事業」を新たな経営の柱に据える戦略です。これは自社の「セントラルキッチン(集中調理施設)」で製造した高品質な料理を、店舗以外でも販売する取り組みを指します。名物の肉豆腐やギョーザ、干物など、お店の味をそのまま家庭や他社へ届けることで、売上全体の3分の1を担う事業への成長を目指しています。

保存料を使用しないという同社のこだわりは、健康志向が高まる現代において強力な武器になるはずです。店舗運営という「点」のビジネスから、食のインフラを支える「面」のビジネスへと進化しようとする姿勢には、老舗のプライドと革新性を感じます。単なる居酒屋の枠を超えた「食品メーカー」としての側面が、今後の収益構造を劇的に変えるでしょう。

アジア拠点設立と外国人材活用による「おもてなし」の強化

深刻化する人手不足への対策も、同社は他社とは一線を画すアプローチを採っています。過度な省人化に頼るのではなく、「サービスは人が担うもの」という信念を貫いています。現場ではすでに1000人近い外国人スタッフが活躍しており、その定着率の高さは、多様性を尊重する同社の社風を物語っていると言えるのではないでしょうか。

さらなる人材の確保と育成を目指し、2020年度にはアジアへの拠点進出も計画されています。これは、優秀な海外人材を現地で採用・教育し、日本での活躍を支援する一貫した体制を整えるための挑戦です。「特定技能(特定の専門技能を持つ外国人に与えられる在留資格)」制度をフル活用し、正社員としての採用も積極的に進める方針です。

こうした人材層の厚みを作ることは、福利厚生の向上にも直結します。現在35パーセント程度に留まっているパート・アルバイトの有給休暇消化率を、一気に70パーセントまで引き上げるという目標は、業界全体で見ても非常に野心的です。従業員が笑顔で働ける環境が整えば、自ずと顧客へのホスピタリティも高まり、次なる成長への好循環が生まれるはずです。

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