「9割超シェア」の衝撃!英ARM副社長が示唆したファーウェイ取引停止で、スマホ半導体開発が迎える最大の危機

2019年5月29日、米国の輸出禁止措置によって、中国の通信機器大手である華為技術(ファーウェイ)が崖っぷちに立たされている中、英半導体設計大手アーム・ホールディングス(ARM)のイアン・スミス副社長が、台湾・台北市で日本経済新聞の取材に応じました。スミス副社長は、ファーウェイとの取引について「米国の規制を順守しなければならない」と明言し、事実上、取引を停止したことを示唆されたのです。これは、ファーウェイの将来の半導体開発に極めて大きな影響を与える、決定的な発言だと言えるでしょう。

アーム社は、スマートフォン(スマホ)向けの半導体設計において圧倒的なシェアを持ち、その技術なしに現代のスマホを製造するのは困難であるとされています。スミス副社長自身も、モバイル機器向け半導体でのシェアは「9割を超える」と強調されました。同社は、半導体を設計する際の基盤技術(アーキテクチャ)を顧客に提供し、ライセンス料を受け取るという独自のビジネスモデルで成功を収めてきました。このアーム社との取引を継続できるかどうかが、米国の規制下でファーウェイが独自に半導体開発を続けられるかの、まさに生命線を握っていると目されています。

スミス氏は、ファーウェイ傘下の半導体大手である海思半導体(ハイシリコン)を「価値あるパートナー」だと表現し、「(米中貿易戦争の)早期の解決を望んでいる」と、複雑な心情をにじませました。しかし、「米規制を順守する」という姿勢は揺るぎません。この発言は、世界経済のサプライチェーンがいかに地政学的なリスクに脆弱であるかという、厳しい現実を私たちに突きつけていると私は感じています。

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独自開発への活路と「エコシステム」の壁

ファーウェイの任正非(じん せいひ)最高経営責任者(CEO)は、5月18日に日本経済新聞などの取材に対し、「(米が)半導体製品を売ってくれないならそれでいい。準備は以前から進めてある」と説明し、独自の技術開発で活路を見出す姿勢を示されています。ハイシリコンは、世界レベルの技術力を持っており、スマホ向け独自半導体「キリン」は、米アップルのスマホが使う半導体と同じ最先端技術で製造されています。しかし、この開発の基盤技術は、他でもないアーム社からライセンス供与を受けているのです。

現行モデルについては、ライセンスを使い続ける権利を確保しているようですが、アーム社との協力が途絶えてしまえば、新たな半導体の開発は極めて困難になる可能性があります。アームの技術を代替できるかという質問に対し、スミス氏は「誰でも参入は可能だ」と答えつつも、「我々は既にエコシステム(生態系)を築いており、(新規参入者が)成功できるかは別問題だ」と付け加えました。エコシステムとは、特定の技術や製品を中心に、関連するソフトウェア、ハードウェア、サービスなどが共存・共栄する巨大な経済圏のことを指す専門用語です。

例えば、米グーグルのスマホ用基本ソフト(OS)である「アンドロイド」は、アームや米インテルなどが手掛ける特定の半導体技術にのみ対応しています。そのため、アームの技術に頼らない製品を独自に開発できたとしても、その半導体に対応するソフトや機器の規格が整っていないという巨大な障壁に直面することになるのです。SNS上では、「アームの技術は簡単には代替できない」「規格の問題がファーウェイの最大の弱点だ」といった、技術的な難しさを指摘する声が多く見られます。私は、ファーウェイの独自開発への道は、単なる技術力だけでなく、この巨大なエコシステムの壁をどう打ち破るかにかかっていると見ています。

中国市場への影響と規制の狭間

アーム社は、これまで中国市場の開拓を加速させてきました。2018年からは、アームと複数の中国企業が共同出資する**「アームチャイナ」を核として、顧客開拓を進めています。スミス氏は、「中国ではあらゆる企業が『アームチャイナ』を通じて技術ライセンスを活用し、サポートを受けられる」と、中国市場へのコミットメントを強調されました。しかし、アームチャイナがファーウェイと取引を続けられるかという問題については、再び「米国の規制を順守する」と述べるに留め、回答を避けられました。

この状況は、世界の企業が、米中間の対立の中で、いかに政治的な規制の狭間に立たされ、難しい経営判断を迫られているかを象徴しています。価値あるパートナーを失う痛みと、国際的な規制を守るという義務の間で揺れるアーム社の姿は、米中貿易戦争が、特定の企業だけでなく、世界のテクノロジー産業全体に「分断」**をもたらしていることを示していると言えるでしょう。この衝突の早期解決を望むスミス氏の言葉は、業界全体の切実な願いを代弁しているのではないでしょうか。

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