【2019年5月】ザッカーバーグ氏の「絶対権力」は是か非か?Facebook株主総会で否決された8つの企業統治強化案

2019年5月30日、米IT業界の中心地であるシリコンバレーで、巨大SNS企業フェイスブック(Facebook)の株主総会が開催されました。この総会で、企業の統治体制、すなわちコーポレート・ガバナンスの強化などを求める8件の株主提案が、なんとすべて否決されるという事態となりました。

この結果の背景にあるのが、創業者であり最高経営責任者(CEO)のマーク・ザッカーバーグ氏に議決権が集中しているという、フェイスブック特有の体制です。近年、個人情報の不適切な管理や、プラットフォーム上のコンテンツ管理における不祥事が相次いでいるにもかかわらず、経営への監視体制が「甘すぎる」のではないかという、投資家からの不満が噴出している状況がうかがえます。

ザッカーバーグ氏が持つ強大な権力の源泉は、彼が保有する種類株制度にあります。これは、一般的な普通株とは異なり、彼が持つ特定の種類株には1株あたり10票という圧倒的な議決権が付与されている制度です。このため、ザッカーバーグ氏は、保有する株式の過半数ではなくとも、議決権の割合では約6割という絶大なコントロール力を手中に収めているのです。この「超議決権」を持つ種類株制度こそが、彼の事実上の絶対権力を支える柱となっています。

株主提案の中には、機関投資家である米ノーススター・アセットマネジメントが前年に続いて提出した「種類株制度の廃止」を求める案がありました。また、別の投資家からは、ザッカーバーグ氏が取締役会議長とCEOという二つの要職を兼務している状態を解消し、より独立した立場の議長を外部から迎えるべきだという提案も出されました。しかし、2019年5月30日の株主投票では、会社側が提案した取締役の選任など4件の議案は可決された一方で、これら8件の株主提案は、ザッカーバーグ氏の圧倒的な議決権によって、全て退けられたのです。

総会後の発言で、ザッカーバーグ氏は、「大きく言えば、我々のビジネスは社会的な問題の渦中にありながらも、成長を続けている」と述べました。これは、一連の不祥事や批判を認識しつつも、プライバシー保護やコンテンツ管理に配慮を続けながら、現在の体制、すなわち彼が主導権を握る体制で引き続き経営を進めていくという、強い意思の表明に他なりません。

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巨大IT企業のガバナンスと創業者のジレンマ

今回の総会結果は、SNSなどで大きな反響を呼んでいます。「創業者の強力なリーダーシップこそが、フェイスブックのような急成長企業には不可欠だ」と評価する声がある一方で、「独裁的な経営は、ユーザーや社会に対する責任を軽視する体質を生む」という厳しい批判も相次いでいます。特に、個人情報の流出やフェイクニュース対策といった、社会的な影響力の増大に伴う責任が重くなっている今、創業者に権限が集中している現状は、リスクと隣り合わせだと言わざるを得ません。

私見を述べさせていただきますと、創業者が持つビジョンと実行力は、企業の成長エンジンとして非常に重要であることは間違いありません。しかし、その強力な権限が、自浄作用や外部からの健全な批判を排除する方向に働いてしまうとすれば、それは企業価値を長期的に損なうことになりかねません。コーポレート・ガバナンスとは、経営を監視し、企業を律する仕組みのことです。株主の要求を全て退けることは、短期的な成長を優先する姿勢の表れと捉えられても仕方がないでしょう。透明性と説明責任が求められる巨大IT企業にとって、ザッカーバーグ氏の「絶対権力」が、今後どのような未来をもたらすのか、注視していく必要があるでしょう。

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