情報通信分野の巨人であるNTTと、情報学の最先端を担う国立情報学研究所(NII)が共同開発した新方式の高速計算機が、実用化されている量子計算機を上回る性能を実証し、大きな話題となっています。特に、最適な組み合わせを見つけ出す**「組み合わせ最適化問題」という分野において、その実力が際立っているのです。従来の量子計算機が問題の複雑化とともに正答率を落とす傾向にあったのに対し、この新方式の計算機は高い正答率を維持できる点が最大の魅力といえるでしょう。
この画期的な計算機は「コヒーレントイジングマシン」と名付けられています。これは、多数の選択肢の中から最も効率的な解を見つけ出す、例えば「複数の都市をいかに効率良く巡回するか」という「巡回セールスマン問題」のような組み合わせ最適化問題を高速で解くために特化して設計されています。この種の計算問題は、組み合わせ方が増えるにつれて計算量が爆発的に増加し、既存のコンピュータでは現実的な時間内に解を導き出すのが困難になるという性質を持っています。
量子アニーリングマシンとの性能比較で見えた実力
NTTと国立情報学研究所は、カナダのD-Wave Systems社が開発し、アメリカ航空宇宙局(NASA)の研究施設にも導入されている「量子アニーリングマシン」という有名な量子計算機と、開発したコヒーレントイジングマシンの性能を比較する実証実験を行いました。量子アニーリングマシンも、組み合わせ最適化問題の解決に適していると期待されている技術です。実験の結果、比較的簡単な問題では量子アニーリングマシンの方が高い正答率を示すことがわかりました。
しかし、いざ組み合わせの要素が複雑化し、解くのが困難な難問に挑戦すると、量子アニーリングマシンは正答率が急激に低下してしまいました。これに対し、コヒーレントイジングマシンは比較的高い正答率を維持**できたのです。この結果は、量子アニーリングマシンが持つ「問題によっては性能に限界がある」という課題を、コヒーレントイジングマシンが補完し、より幅広い難易度の問題に対応できる可能性を示唆しています。この技術の登場は、計算科学の世界に新たな一手をもたらすものと、私は強く期待しています。
専門用語の解説とSNSでの反響
ここで、登場した専門用語について簡単に解説しましょう。「量子計算機」とは、量子力学というミクロな世界の法則を利用して、従来のコンピュータでは困難な計算を超高速で行うことを目指した次世代の計算機です。また、「量子アニーリング」とは、量子効果を利用して組み合わせ最適化問題の「最もエネルギーが低い状態」、つまり最適な解を探索する手法を指します。「コヒーレントイジングマシン」は、量子的な性質を持つ光を利用して計算を行う方式で、特定の分野で量子計算機を凌駕する性能を見せたことで、技術的な意義は非常に大きいと言えるでしょう。
実は、このコヒーレントイジングマシンは、内閣府の大型研究開発制度で開発された当初は**「量子ニューラルネットワーク」と呼ばれていました。しかし、一部の専門家から「量子コンピューターと呼ぶのは適切ではない」という異論が上がり、現在の名称に改められたという経緯があります。この名称変更の経緯も、SNS上では「量子コンピューターの定義って難しいね」「NTTの技術は量子と古典の間に位置する第三の波か」といった議論を呼び、計算機の未来に対する人々の関心の高さが伺えます。
今回の実証実験は、2019年6月2日に公表されました。この成果が、物流ルートの最適化や新薬開発における分子構造の決定など、社会のさまざまな課題解決に役立つことを願ってやみません。コヒーレントイジングマシンが、量子技術と並び立つ次世代高速計算**の一翼を担うことになるでしょう。
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