ヒカキンが東京五輪の顔に!急成長するUUUMとインフルエンサー経済圏の最前線

土砂降りの雨の中、若者たちが全力で駆け抜ける400メートルリレー。一見すると、どこにでもある光景かもしれませんが、スマートフォンを握りしめる小学生たちの熱狂は凄まじいものがあります。これは2019年6月、日本コカ・コーラが東京五輪を盛り上げるために結成した「チームコカ・コーラ」の発表会での一幕です。驚くべきは、女優の綾瀬はるかさんと肩を並べて、国民的スターとして「HIKAKIN」ら人気ユーチューバーが選出されたことでしょう。

ネット上ではこの起用に対し、「テレビの時代から完全にYouTubeの時代に変わった」「好きなクリエイターが五輪に関わるのは嬉しい」といったポジティブな声が溢れています。実際にヒカキンさんがタイアップ動画を公開したところ、わずか2週間で600万回再生という驚異的な数字を叩き出しました。さらに、動画内で紹介されたキャッシュレス決済アプリが1日で5万件以上もダウンロードされるなど、その経済波及効果は凄まじく、企業のマーケティング担当者もその手腕に脱帽しています。

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急成長を遂げるUUUMの圧倒的な存在感

こうした新しい時代の宣伝手法において、今まさに主役として躍り出ているのが、国内最大級のクリエイター事務所「UUUM(ウーム)」です。2019年5月期の売上高は、前の期に比べて6割増の190億円に達する勢いを見せています。2017年のマザーズ上場時と比較して、時価総額も2倍以上の約850億円規模にまで膨らんでおり、投資家たちからも熱い視線が注がれています。まさに、インターネットメディアの新しい覇者と言えるでしょう。

UUUMの強みは、YouTubeの再生回数に応じた広告収入だけではありません。彼らは、特定の分野で人々の消費行動に大きな影響を与える「インフルエンサー」を、ビジネスの核として育て上げるノウハウを持っています。専門的なボイストレーニングや、視聴者が検索しやすいキーワードを選定するSEO対策の指導など、所属する300組以上のクリエイターに対し、既存の芸能事務所さながらの手厚い教育を施しているのが特徴的です。

企業が熱望する「等身大」の訴求力

なぜ、大手企業がこぞって彼らとの連携を望むのでしょうか。その理由は、テレビCMでは決して届かない若年層への圧倒的なリーチ力にあります。タカラトミーなどの玩具メーカーは、ユーザーと同世代の女の子が「等身大」の目線で商品をレビューすることを高く評価しています。作り込まれた広告よりも、信頼するクリエイターの「これ、本当に楽しい!」という一言の方が、今の若者の心には深く突き刺さるというわけです。

私は、この現象は単なる流行ではなく、広告のあり方が「企業からの一方通行」から「信頼できる個人による共有」へと根本的に変化した証だと考えています。かつては雲の上の存在だったスターが広告を担っていましたが、現在は「自分たちの気持ちを代弁してくれる身近なヒーロー」が経済を動かす時代になりました。UUUMはまさに、この信頼を資本に変える仕組みを構築した先駆者と言えるのではないでしょうか。

グローバル競争と動画広告市場の未来

もちろん、この市場は国内に留まりません。例えば、お隣の中国では既に年間2兆円規模のインフルエンサー市場が形成されています。中国ではYouTubeが利用できないため、動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」などを通じた独自のプロモーションが進化しています。2019年の春には、中国の人気インフルエンサーがカルビーの工場を訪れた動画を投稿した翌日、シリアル食品の売り上げが通常の6倍に跳ね上がるという現象も起きています。

調査によれば、国内の動画広告市場は2024年に5000億円近くに達し、インフルエンサーを活用したマーケティングも2023年には500億円を突破すると予測されています。UUUMもインスタグラムに強い企業を吸収合併するなど、プラットフォームに縛られない戦略を加速させています。次世代の消費者の心を掴むための戦いは、これからさらに激化していくでしょう。私たちが目にする動画の裏側には、今や巨大な経済の歯車が力強く回転しているのです。

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