医療業界の中でも特に熱い視線が注がれているがん治療薬市場において、2018年は非常にダイナミックな地殻変動が起きた1年となりました。この年の世界市場規模は約1,240億ドル、日本円にして約13兆1,440億円という驚異的な数字を記録しています。前年と比較して16.2%もの急成長を遂げたこの分野は、今や医薬品市場全体の15.0%を占めるまでに至りました。
長きにわたりこの巨大市場で絶対王者として君臨してきたのが、スイスの製薬大手ロシュです。しかし、2019年8月8日に発表された最新の調査結果によると、同社のシェアは前年から3.1ポイント低下するという意外な結果が示されました。不動の首位を守ってはいるものの、その足元では競合他社による激しい追い上げが始まっており、市場の勢力図が塗り替えられようとしています。
シェア低下の背景には、バイオシミラーと呼ばれる後発品の存在が欠かせません。バイオシミラーとは、先行して開発されたバイオ医薬品とほぼ同等の品質、安全性、有効性を持つ安価な代替薬のことです。ロシュが誇る主力製品の特許が切れたことで、これら安価な選択肢が普及し、王者の売上を削り取っている状況は、患者さんの負担軽減という観点からは喜ばしいことかもしれません。
急伸する米国勢と変動する勢力図の行方
ロシュの背中を追うのは、2位の米セルジーンと3位の米ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)です。この2社は画期的な新薬を武器に、着実にその存在感を高めています。特に免疫系に働きかける新しいタイプのアプローチが市場で高く評価されており、SNS上でも「これまでの治療法を大きく変える可能性がある」と期待を寄せる医療関係者や患者家族の声が多く散見されます。
一方で、かつて上位を争っていたスイスのノバルティスは4位へと順位を落としてしまいました。主力製品の販売減が響いた形となり、巨大資本を持つメガファーマであっても、革新的な新薬を出し続けなければ生き残れないという、この業界の厳しさを物語っています。SNSでは「研究開発のスピード感が勝敗を分ける時代になった」という鋭い分析も飛び交っており、各社の戦略に注目が集まっています。
私自身の見解としては、この市場競争の激化は、がんという難病に立ち向かう人類にとってポジティブな兆候であると考えます。特定の企業が独占するのではなく、各社が切磋琢磨することで、より効果が高く副作用の少ない治療薬が早く届くようになるからです。今後、セルジーンとBMSの合併といった業界再編の動きがどのようにシェアに反映されるのか、2019年以降の動向から目が離せません。
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