DAZN・WOWOWが仕掛ける「体験型」戦略!有料放送がファンを熱狂させる“地上波超え”の極意とは?

テレビを「見る」だけの時代から、リアルに「体験する」時代へ。2019年09月13日現在、有料動画配信や衛星放送を手がける事業者たちが、これまでの常識を覆すユニークな施策で注目を集めています。イギリスに本拠を置くDAZN(ダゾーン)グループや、国内衛星放送の雄であるWOWOWが、画面を飛び出しリアルの場で利用者との接点を劇的に増やしているのです。

こうした動きの背景には、地上波放送以上にシビアな「顧客のつなぎとめ」という課題があります。一度契約してもすぐに解約されてしまう「チャーン(解約)」を防ぐため、少人数で濃密なイベントを開催し、ファンの心をがっちりと掴む戦略です。スマートフォンに可処分時間を奪われがちな現代において、あえて「場所」を作ることで、生活の一部に深く入り込もうとする狙いが透けて見えます。

SNS上では、こうしたリアルイベントに対して「憧れの選手をみんなで応援できて最高!」「子供が放送の裏側を知って目を輝かせていた」といった好意的な声が上がっています。単なるコンテンツの提供にとどまらず、ブランドへの愛着を育む場所として機能しているようです。デジタル全盛期だからこそ、肌で感じる「体験」という付加価値が、強力な武器になっているといえるでしょう。

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WOWOWが挑む「次世代ファン」の育成術

2019年08月17日、東京都江東区にあるWOWOW放送センターでは、子供たちの歓声が響き渡りました。ここで開催されたのは、小学4年生から6年生を対象とした「キッズアカデミー」です。普段はプロがスポーツや映画番組を制作している本物のスタジオを舞台に、子供たちがカメラマンやディレクターの仕事を疑似体験するという、夢のような企画が実施されました。

参加した9歳の女の子は、映像に文字情報を重ねる「テロップ」の仕事に挑戦し、タイミングを合わせる難しさに苦戦しながらも、完成した時の達成感に満ちた表情を浮かべていました。WOWOWにとって、契約者の中心は50代から60代ですが、あえて子供向けのイベントを入り口にすることで、家族全員でサービスを楽しむ「ファミリー層」の囲い込みを強化したいという意図があります。

さらに2019年10月には、茨城県の宍戸ヒルズカントリークラブにて、プロの解説者が直接指導するジュニアゴルフ教室の開催も予定されています。アフレコ体験やオペレーター体験など、多角的なアプローチで「エンタメの裏側」を見せる姿勢は、単なる放送局の枠を超えた教育的価値すら提供しています。これは将来の優良顧客を育てる、極めて賢明な先行投資だと私は考えます。

渋谷から発信するDAZNの「日常化」戦略

一方、スポーツ配信の黒船・DAZNも攻めの姿勢を崩しません。2019年06月、東京・渋谷に世界初となる直営スポーツバー「DAZN CIRCLE(ダゾーン サークル)」をオープンさせました。2019年08月23日には、元スペイン代表の至宝、フェルナンド・トーレス選手の引退試合に合わせてイベントが開催され、200人を超える熱狂的なサポーターが会場を埋め尽くしました。

日本におけるスポーツ観戦は、どうしても一過性のブームで終わりがちですが、DAZNはこの常識を打破しようとしています。ビールやコーヒーを片手に、リビングのようにリラックスして試合を楽しめる「拠点」を設けることで、スポーツ視聴を日本人のライフスタイルに根付かせようとしているのです。デジタルプラットフォームでありながら、あえて「実店舗」を持つ決断は非常に大胆です。

私は、この「狭く、深く」刺しにいく戦略こそが、今後のメディア生き残りの鍵になると確信しています。フジテレビやテレビ朝日などの地上波が、お台場や六本木で大規模な夏祭りを開催し「広く、浅く」集客するのに対し、有料放送勢は特定の趣味嗜好を持つ層にターゲットを絞っています。万人受けを狙わず、特定の誰かの「大好き」を深掘りする勇気が、今の時代には必要不可欠なのです。

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