信州の美しい自然に囲まれた長野県で、いま多くの企業がかつてない「人材確保の壁」に直面しています。帝国データバンクの長野県内3支店が2019年9月25日に発表した調査結果によると、同年7月時点で正社員が足りないと回答した県内企業は50.6%に達しました。これは4月の前回調査から3.8ポイントも上昇しており、半年ぶりに半数を超える深刻な状況となっています。
都道府県別の不足率ランキングでは全国で18番目に位置しており、長野県における人手不足の根深さが改めて浮き彫りになりました。SNS上では「求人を出しても応募が来ない」「一人あたりの業務負担が増えて限界に近い」といった切実な声が相次いでいます。景況感(経済状況に対する企業の肌感覚)は悪くないものの、働く担い手が見つからないジレンマが経営の足かせとなっているのでしょう。
特筆すべきは、企業の規模によって明暗が分かれている点です。従業員数や資本金が多い「大企業」では、2018年7月の調査と比較して6.4ポイント増の68.6%が不足を感じています。対照的に、比較的小規模な「中小企業」は5.9ポイント減の47.6%に留まりました。一見、中小企業が健闘しているようにも見えますが、実際には大企業がより積極的な事業拡大を進める中で、人手の奪い合いが激化していると推測されます。
建設・サービス業で深刻な採用難、業界ごとの温度差が浮き彫りに
業界別のデータを見ると、さらに具体的な苦境が見えてきます。特に「サービス業」の不足率は70.4%と極めて高く、接客や専門サービスを支える人材がいかに枯渇しているかが分かります。また、「建設業」も2018年7月から10.7ポイント増の66.7%となり、インフラ整備や住宅建設を担う現場の危機感が強まっているようです。一方で「製造業」は41.1%と、前年比で15.9ポイントも低下しました。
今回の調査は2019年7月に県内536社を対象として実施され、248社から回答を得た精度の高いものです。私個人としては、この数字の変化は単なる労働力不足ではなく、働き手の価値観の変化や都市部への人口流出が背景にあると感じて止みません。単に給与を上げるだけでなく、リモートワークの導入や柔軟な勤務形態など、これからの時代に選ばれる職場づくりが急務と言えるのではないでしょうか。
長野県の経済を支えるためにも、企業側には「選ぶ立場」から「選ばれる立場」への意識改革が求められているのかもしれません。深刻な人手不足は、裏を返せば既存の働き方を見直す大きなチャンスでもあります。地域一丸となって、若者や多様な人材が「ここで働きたい」と思える魅力的な環境を整えていくことが、信州の未来を明るく照らす鍵となるに違いありません。
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