アジアを代表する巨大市場であるインドの二輪車販売が、かつてない苦境に立たされています。インド自動車工業会(SIAM)が発表した2019年08月の統計データによると、二輪車の販売台数は前年同月比で22%も減少した151万4196台にまで落ち込みました。これで9カ月連続の前年割れという厳しい状況が続いており、市場の冷え込みは深刻さを増すばかりです。
今回の不振で注目すべき点は、四輪車だけでなく二輪車までもが同様の減少幅で苦戦を強いられていることでしょう。2019年04月から2019年08月までの累計販売数を見ても、前年比で15%減という数字が出ています。この結果は、単なる一時的な落ち込みではなく、インド経済全体の足腰が弱まっていることを強く示唆していると言わざるを得ません。
インドにおいて二輪車は、都市部だけでなく農村部での移動手段として不可欠な存在です。そのため、二輪車の売れ行きは「農村部の景気指標」としての役割を果たしています。今回の激減は、生活の基盤となる層の購買力が著しく低下している証拠でしょう。ネット上では「ローン審査の厳格化や保険料の値上げが痛すぎる」といった、ユーザーの切実な声が数多く寄せられています。
具体的な内訳を覗いてみると、市場の約6割を占めるオートバイが約94万台と、22%のマイナスを記録しました。さらに驚くべきは、昨年まで飛躍的な成長を遂げていたスクーター部門も22%減の約52万台まで縮小したことです。好調だったカテゴリーまでが失速した事実は、メーカー各社にとって大きな衝撃となって波及しているはずです。
メーカー別の業績も、まさに「総崩れ」と呼ぶに相応しい凄惨な結果となりました。最大手のヒーロー・モトコープが21%減の約52万台となったほか、スクーターシェアで圧倒的な強さを誇る2位のホンダも、26%減の42万台強と大幅に数字を落としています。月間10万台以上の販売規模を誇る主要メーカーが揃って20%以上のマイナスに沈む中、まさに非常事態と言えます。
このような絶望的な状況下で、唯一の希望を見せたのがスズキです。大手メーカーが軒並み苦戦を強いられる中で、前年比1%増という微増ながらもプラスを維持した手腕は見事という他ありません。戦略的なモデル投入が功を奏した形ですが、市場全体を覆う暗雲を振り払うまでには至っておらず、今後のインド経済の動向からは一瞬たりとも目が離せない状況です。
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