損保業界の常識を覆す!東京海上とSOMPOが挑む「ヨコ」と「タテ」の成長戦略とは?

2019年10月03日、日本の損害保険業界を代表する2つの巨頭が、今後の運命を左右する重大な発表を行いました。東京海上ホールディングスによる米国の富裕層向け保険大手ピュアグループの買収と、SOMPOホールディングスによる駐車場シェアリング大手akippaのグループ会社化です。奇しくも同日に重なったこれらのニュースは、各社が描く未来図がいかに鮮明に分かれているかを世に知らしめる結果となりました。

東京海上が進める戦略は、専門用語で「水平展開」と呼ばれる、いわば「ヨコ」への拡大といえるでしょう。これは、特定の地域や事業に依存せず、世界規模でリスクを分散させる手法を指します。特に近年は気候変動による自然災害が激甚化しており、日本国内だけでなく海外へ拠点を広げることは、経営の安定性を高める上で極めて重要な意味を持ちます。彼らは他社に先駆けて海外M&Aの経験を積み上げ、独自の地位を築いています。

これまでの買収劇を振り返っても、農業保険に特化した米HCCや、資産運用に強みを持つ米デルファイなど、その顔ぶれは非常に多彩です。実際に2018年03月期に米国を大型ハリケーンが襲った際も、緻密なリスク分散によって東京海上の損失は軽微に留まりました。M&Aの市場価格が高騰する厳しい局面においても、着実に優良な案件を成約させるその手腕からは、グローバルプレイヤーとしての揺るぎない自信が感じられるでしょう。

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インフラに溶け込む保険、SOMPOが描く「タテ」の未来

一方でSOMPOホールディングスが注力しているのは、生活インフラの段階から深く関わっていく「タテ」の戦略です。これは単に事故が起きた際の補償を提供するだけでなく、サービスそのものに保険を組み込んでいくアプローチを意味します。例えば2019年02月にはディー・エヌ・エーと提携し、個人間でのカーシェアリングや定額制の自動車貸出サービスを開始しました。次世代のモビリティ社会を先取りする動きといえます。

こうした取り組みにより、駐車場シェアリングやサブスクリプション(定額課金)といった新しいサービスの中に、保険が自然と溶け込む形を目指しているのでしょう。SNS上では「保険の窓口に行く手間が省ける」「ライフスタイルに合っている」といった好意的な意見も散見され、若年層を中心に期待が高まっています。従来の「待ち」の姿勢から、顧客の生活圏に自ら飛び込んでいく「攻め」の姿勢への転換は、非常に鮮烈な印象を与えます。

なぜ、これほどまでに各社の戦略は分かれるのでしょうか。その背景には、損保各社の屋台骨である自動車保険の市場変化があります。日本損害保険協会のデータによれば、2018年度の正味収入保険料(顧客から受け取った保険料の純計)は、9年ぶりに前年度比1.3%の減少となりました。国内の自動車販売が縮小傾向にある中、これまでのように横並びで競い合うだけでは、生き残ることが困難な時代に突入しているのです。

日本初の損保会社が誕生してから2019年で140年が経過しましたが、今ほど業界の進むべき道が多様化したことはありません。私は、この戦略の分かれ道こそが、日本企業が成熟社会で進化するための「健全な危機感」の現れだと考えています。画一的なサービスから脱却し、各社が独自の強みを磨くことで、私たち消費者はより質の高い選択肢を得られるはずです。未踏の領域に踏み出す両社の挑戦から、今後も目が離せません。

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