静岡県浜松市に本社を構え、世界的なノコギリメーカーとして知られる天龍製鋸が、2019年11月12日に2019年4月から9月期までの連結決算を公表しました。発表された内容によると、本業の儲けを示す営業利益が前年の同じ時期と比べて19%も増加し、8億9800万円という素晴らしい数字を叩き出しています。製造業を取り巻く環境が厳しさを増す中で、この二桁増益という結果は、同社の確かな技術力が市場から高く評価されている証左と言えるでしょう。
今回の好決算を力強く牽引したのは、主力の「チップソー」と呼ばれる製品です。これは円形の台金の先端に超硬合金などのチップをロウ付けした丸のこのことで、主に金属や木材を切断するために欠かせない消耗品を指します。SNS上では「天龍の刃物は一度使うと他には戻れない」といった職人たちの信頼の声も多く、現場での圧倒的な支持が数字に表れた形です。特に自動車工場向けの金属用チップソーが、国内外で堅調な動きを見せたことが大きな要因となりました。
また、売上高についても前年同期比3%増の60億円を記録しており、成長の勢いは止まりません。金属分野だけでなく、国内の住宅資材向けチップソーの販売が伸びたことも、収益の底上げに大きく寄与したようです。一方で、最終的な利益を示す純利益に関しては、13%減の6億3100万円という結果に留まりました。これは外国為替市場における円高の影響を強く受けたためですが、本業の稼ぐ力自体は決して衰えていないため、過度に悲観する必要はないと私は考えています。
米中貿易摩擦の影と今後の展望
盤石に見える決算内容ですが、足元では世界経済の不透明感が漂い始めています。2019年10月以降、米中貿易摩擦による景気減速の影響が表面化しており、国内外で受注の勢いに陰りが見え始めている点は注意が必要です。投資家の間でも「これからの冷え込みをどう乗り切るか」が焦点となっており、厳しい局面での舵取りが期待されています。しかし、消耗品であるチップソーは景気が悪化しても一定の需要が見込めるため、同社の底力には注目すべきでしょう。
個人的な見解を述べさせていただきますと、天龍製鋸の強みは「切る」という根源的な技術を極めている点にあります。AIやITが進化しても、物理的なモノづくりが存在する限り、高性能な刃物の需要が消えることはありません。現在は外部環境の逆風にさらされていますが、こうした時期こそ同社の高付加価値な製品が、コスト削減を狙う企業の助け舟になるのではないでしょうか。今後も日本のモノづくりを支える「縁の下の力持ち」としての活躍から目が離せません。
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