オセアニアの通信業界が、いま大きな転換点を迎えています。ニュージーランドの携帯電話市場で第2位のシェアを誇る大手「スパーク」が、2019年11月18日、次世代通信規格「5G」のインフラ構築に向けた新たな計画を発表しました。驚くべきは、その提携先に中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)が含まれている点です。
実は、スパークは2018年にも同様の構想を政府に提示していましたが、当時は安全保障上の懸念を理由に、事実上の却下を言い渡された経緯がありました。国家の守りと最新技術の導入、この板挟みの中で同社が下した決断に、世界中から熱い視線が注がれています。SNSでは「技術力の高さは無視できない」「安全面でのリスクはどうクリアするのか」といった、期待と不安が入り混じった声が飛び交っています。
一極集中を避ける「マルチベンダー」という戦略的選択
今回の計画で注目すべきは、スパークがファーウェイ一択ではなく、韓国のサムスン電子やフィンランドのノキアといった、複数の企業の機器を併用する方針を打ち出したことです。これは、特定のメーカーだけに頼らず、複数の会社の製品を組み合わせてシステムを構築する「マルチベンダー」という手法です。この戦略により、技術の進化に柔軟に対応しつつ、特定の供給源が止まった際のリスクを分散させることが可能になります。
5Gとは、超高速・大容量・低遅延を実現する「第5世代移動通信システム」のことです。あらゆるモノがインターネットに繋がるIoT時代の基盤となる重要な技術ですが、それゆえに通信機器の心臓部にどこの製品を使うかは、国家レベルの重要事項となります。2019年11月21日現在、政府がこの新しい「複数採用プラン」に対してどのような最終判断を下すのかが、最大の焦点と言えるでしょう。
編集部としては、今回のスパークの動きは非常に賢明な現実路線だと考えます。安全保障の議論は重要ですが、コストパフォーマンスと技術力に定評のあるファーウェイを完全に排除すれば、5Gの普及が遅れ、国全体のデジタル競争力が低下する恐れがあるからです。一社の技術に依存しない柔軟な体制を整えたことで、政府側の懸念をどこまで払拭できるかが、今後のニュージーランドの通信環境を左右することになるはずです。
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