私たちの思考や記憶を司る大脳は、大きく分けて「神経細胞」と「グリア細胞」という2種類の細胞によって形作られています。中でも、近年特に注目を集めているのが、脳内の免疫を担うエッセンシャルワーカーとも言える「ミクログリア」です。このミクログリアは、全身の至る所に存在する免疫細胞の一種「マクロファージ」とよく似た性質を持っており、脳という閉ざされた聖域の中で、常に私たちの健康を見守ってくれる心強い存在と言えるでしょう。
2019年11月17日現在、ミクログリアの多才な働きが次々と明らかになり、医療の常識を塗り替えようとしています。普段の彼らは、細長い突起を四方八方に広げた繊細な姿で、脳内に異変がないかパトロールを欠かしません。一度ウイルスなどの外敵や死んだ細胞を見つけると、その姿は一変します。まるでアメーバのように形を変えて現場へと急行し、有害な物質を丸ごと飲み込んで分解してしまうのです。この劇的な変化は、まさに脳内の「特殊部隊」と呼ぶに相応しいものです。
知能を育むミクログリアの知られざる役割
驚くべきことに、彼らの仕事は掃除だけにとどまりません。ミクログリアは、神経細胞同士が情報をやり取りする接合部である「シナプス」のメンテナンスも担当しています。不要なシナプスを間引き、必要な回路を補強するこのプロセスは、私たちが新しいことを学び、記憶を定着させるために必要不可欠なステップです。SNS上では「脳の中にこれほどアクティブに動く細胞がいるなんて驚き」「掃除屋さんが知能まで支えていたとは」といった感嘆の声が上がっています。
しかし、この強力な力が裏目に出てしまうこともあります。ミクログリアが暴走して健康な神経細胞まで傷つけたり、逆に機能が低下して炎症を放置したりすると、認知症や精神疾患、学習障害などの一因になると考えられています。そのため、ミクログリアの働きを適切にコントロールする技術は、現代病を克服するための「創薬の標的」として、世界中の科学者から熱い視線を浴びているのです。
編集者の視点から言えば、ミクログリアは単なる「脇役」ではなく、脳という社会を維持するための「デザイナー」でもあります。私たちが何気なく考え、行動できるのは、このミクロな細胞たちが片時も休まずに脳内を最適化してくれているおかげなのです。今後の研究によって、彼らを味方につける新しい治療法が確立されることを期待せずにはいられません。目に見えない脳の深淵で繰り広げられる、このミクロの攻防に今後も注目が集まるでしょう。
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