ピジョンが下方修正を発表!インバウンド需要の冷え込みと中国EC規制がもたらした試練

育児用品のトップブランドとして知られるピジョンは、2019年12月2日に衝撃的なニュースを明らかにしました。2019年12月期の連結純利益が118億円にとどまる見通しとなり、当初予想していた143億円から25億円も引き下げられたのです。今期は決算期の変更に伴う11カ月の変則決算ではありますが、実質的には2期連続の減益という、企業にとっては非常に厳しい局面を迎えているといえるでしょう。

売上高についても、従来予想から72億円下方修正した990億円となる見込みです。SNS上では、これまでインバウンド消費の代名詞的存在だったピジョンの失速に対し、「ついに爆買いの波が引いたのか」といった驚きの声や、子育て世代からの「品質が良いだけに頑張ってほしい」というエールが混在しています。主力製品である哺乳瓶やスキンケア用品の苦戦が、今回の業績に影を落としているようです。

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中国市場の変化と為替の荒波

今回の業績下振れの最大の要因は、中国からのインバウンド需要の急速な落ち込みです。特に利益率が高い哺乳瓶用の乳首やスキンケア製品の売り上げが想定を下回りました。これは、中国政府が電子商取引(EC)事業者への規制を強化したことが背景にあります。これにより、日本で購入した商品を中国で転売して利益を得る、いわゆる「代理購入者」の活動が制限され、爆買いの勢いが目に見えて削がれてしまいました。

さらに追い打ちをかけたのが為替の影響です。前期に比べて「元安・円高」が進んだことで、中国市場での価格競争力や換算利益が減少してしまいました。板倉正・取締役常務執行役員は2019年12月2日の記者会見で、これまでのインバウンド関連における10%以上の増収傾向が完全に頭打ちになったと述べています。市場環境が劇的に変化する中で、これまでの成功モデルが通用しなくなっている現状が浮き彫りになりました。

一方で、国内市場では2019年10月の消費増税を前にした駆け込み需要が見られました。しかし、売れたのは単価こそ高いものの利益率が低いベビーカーなどが中心で、収益を押し上げるまでの力にはなりませんでした。企業の収益構造において、「何が売れるか」という質の問題がいかに重要であるかを痛感させられる結果です。私の見解としては、特定の市場や需要に依存しすぎることのリスクが、改めて露呈した形だと感じています。

今後の展望と株主還元への決意

同日発表された2019年2月〜10月期の連結決算は、純利益が前年同期比22%減の95億円、売上高が2%減の775億円と、数字上でも苦戦が鮮明です。しかし、ピジョンは株主への姿勢を崩していません。年間配当は前期から2円増の70円を維持する方針です。「配当性向(利益のうちどれだけを配当に回すかを示す指標)」を55%程度に保つという約束を、現時点では守り抜く構えを見せています。

ピジョンは高いブランド力を持つ企業であり、今回の停滞はあくまで次なる飛躍への「踊り場」であると信じたいところです。インバウンド頼みの経営から脱却し、いかにして現地中国での正規販売や、日本国内での付加価値を高めた新戦略を打ち出せるかが今後の焦点になるでしょう。編集部としても、信頼の厚い同社がこの逆風をどう乗り越えていくのか、引き続きその動向を注視していきたいと考えています。

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